本読み隊
本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
死にかけ花嫁と革命の鐘 藍川竜樹
2016年08月28日 (日) 13:51 | 編集

死にかけ花嫁と革命の鐘 (コバルト文庫)
2016/4/28
藍川 竜樹 (著)

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死にかけ花嫁と革命の鐘 

藍川竜樹

ブルグ帝国の暴君皇帝に政略結婚で迎えられた王女ヘルミナ。生まれつき身体が弱く、長く起きれば熱を出し、緊張が高じると血を吐いて倒れるという病弱っぷりで、世話係の侯爵カエサルは日々振り回されることに。だが、実は病弱を逆手に医学や政治の知識を蓄えていたヘルミナ。国民が皇帝に不満を持つのを見抜き、カエサルに革命の同志になるよう密約を申し出て…。激動のヒストリカルラブ!
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「このままでは死ねない」と強く願う王女ヘルミナ。その潔い生き様に、鼻の奥がツンとしそうで、フッと笑ってしまう、病弱ながらも根性のあるヒロインのお話。
他国に嫁いで革命を起こすまでの、読み切りの大河ロマ。ラブ薄だが、二人の献身が素敵なお話。
でも、病弱設定を笑いにしているので、そこで笑えない人は無理かも。

あらすじ
ヘルミナは5歳になった日、王族の義務として婚約をした。寝台からは出られず、婚約者のランスからは無視されつづけ、13歳で衰弱のあまり声も出せなかったとき、運命は無情にもランスが解放されることに喜んでいる声をきかせた。

「国の予算を食いつぶす金食い虫、治療するだけ無駄だ」

それを聞いたとたん、ヘルミナの心に熱が生まれた。
怒りではない。嫉妬でもない。
純粋に、このまま死にたくない、いや、このままでは死ねないという、生への渇望だった。
気がついたのだ。
童話を開いてうっとりと夢想していた舞踏会で踊る婚約者と自分の姿、それは自由に踊れる健康な自分にあこがれていただけだったと。
それからは、勤勉にありとあらゆる分野を学んだ。
自分の体は自分で癒す。領地経営をまかされ、ベッドにあらゆる学者を呼んだ。死の重い影がたちこめていた王女の間は、今では知識階級が集うサロンになっている。
だが、ヘルミナのもとへ縁談が舞い込んだ。
ブルグ帝国を育て上げた残虐な皇帝ゼノンがヘルミナを求めているというのだ。

「……つまり私を通じてアルディナの王位を奪うつもり、ということですか」


冒頭の経緯。なんとか存命して帝国にたどりついたヘルミナだが、皇帝は傍若無人で都につくまえに病が治らなかったという理由で随行していた侍医らの首を刎ねると言い出した。ヘルミナの機転で彼らを救い、宮廷内で信頼できる人物を探す足がかりをつくり、ある人物に目をつけた。
カエサル・オルトランド侯爵。
赤褐色の髪の若者は、ヘルミナの世話係りに任命されたが、彼の父はゼノンに疎まれ幽閉されており、地下活動をしている。ヘルミナは思い切って、彼に仲間に入れてくれるように頼むと…

死の寸前まで何度も行ったことのあるヘルミナの迫力の説得に、歴戦の戦士もタジタジなのであります。
そんな鬼気迫るヘルミナの病弱は鬱陶しほどなのだが、妙に説得力があって、面白かった。
だが、ヒロインの病弱を逆手にとった反撃に、感涙のでる展開になるかと思いきや、笑いになって山場を迎えるあたり、作者らしいナと感じた。

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花酔夢 皇帝の一途でいじわるな寵愛 藍川竜樹
2016年04月09日 (土) 16:28 | 編集

花酔夢 ―皇帝の一途でいじわるな寵愛― (コバルト文庫)
2015/12/25
藍川 竜樹 (著)

---楽天---




花酔夢 
皇帝の一途でいじわるな寵愛 

藍川竜樹

崔国の皇太子・叡綜に仕える女官の沙羅は、人間と花仙との間に生まれた娘。花仙が持つ“伴侶の玉”を叡綜に奪われたせいで彼の命令に逆らえなくなってしまった。日々、叡綜のいじわるに耐えていた沙羅は、叡綜が皇帝位を継いだ際に、妃候補の情報を探るために後宮に乗り込んだ。だが、後宮に渦巻く“陰の気”を感知した沙羅は、叡綜と共に後宮の女性たちをめぐる陰謀に巻き込まれて…!?
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彼女の魂である“伴侶の玉”を持つ者は、言葉で沙羅を従えることができてしまう。したがって、彼女を言葉で縛ることを恐れ、本音を口にできず、なおかつ、たくましく育ってほしいとあえて(?)嫌味な発言をくりかえしているのだ。
だが、そんな二人の関係は彼が皇帝になったことで変化し…

陰謀渦巻く後宮を舞台しした中華もの。評判ほど悪くなかった。天然なヒロインといじめっこヒーローとのすれ違いラブは好きなので、楽しく読了。
いじめっこヒーローは、嫌われると作品うんぬんと関係なく低評価になりやすいかも。
とはいえ、全体的にこじんまりとまとまってしまって、作者らしいはっちゃけた雰囲気が減ってしまったのは残念かな。
シリアスかコメディーか両極端な作家だけに、普通でなんとなく惜しい。

あらすじ
<俺が戻った時は、お前が真っ先に出迎えろ>
と威圧感満々に命じられたので、おっかなびっくり内廷を出て、外廷にある馬場という男の世界に初めて足を踏み入て出迎えたのに、どうしてこんな顔を向けられるのかわからない。
皇太子・叡綜は、皆に寛大で理知的で完璧だ。
だが、沙羅に対する時だけ、彼の態度は違う。
いつも気まぐれで自分勝手。沙羅が一生懸命言いつけられたことをしても満足してくれたことがない。というよりいじめる。
やることなすことすべてに嫌味を言う。

「馬鹿かお前は。こんな男だらけのところへ一人で出てこいと命じるわけなかろう!」


冒頭の経緯。花仙(花の妖精みたいな)・沙羅にひと目惚れし、彼女の魂である“伴侶の玉”を手に入れた。
それから4年。“伴侶の玉”を取り戻すことはさておき、花仙・沙羅は叡綜に認められようと女嬬として日々懸命に働いている。しかし、叡綜の態度は厳しい。そんな彼に売り言葉に買い言葉で口答えをするのは沙羅くらいのもの。周囲は二人の仲が良いと誤解しているが、沙羅は一方的に遊ばれているだけだ。
だが、とうとう皇太子だった彼が陛下と呼ばれる日がきてしまった。
後宮に入れようとする叡綜の思惑を知らない沙羅は、陰の気に満ちた後宮を恐れるが、端女として働きながら後宮を探ることになってしまい…

ヒロインは儚げな雰囲気の花仙でも、叡綜に鍛えられたためか、負けん気は強く、何でも一生懸命頑張る娘です。彼の気持ちに疎くて鈍い子ですが、皇帝になり遠くなった彼との距離から気持ちを自覚するまでがいい感じに切なくてよかった。
二人の距離があったぶん、もう少し後半に二人の間に甘い雰囲気があったほうが良かったかなとは思うが、満足。
読み切りとしてスッキリとまとまってます。
巻末にイラスト担当の深山キリさんの漫画が1ページあり。

前の作品は壮大なスペース・オペラになりそうだったのに、続刊がなくて残念。最近の傾向として作者はシリアスを書きたそうだけれど、作者のシリアス展開は私としては重すぎてつらい。ラブコメが向いているのだから、笑えるの書いて欲しいナ。あくまで、個人的な希望。

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偽姫 乙女の選択と下剋上な猟犬たち 藍川竜樹
2015年10月07日 (水) 22:02 | 編集

偽姫 乙女の選択と下剋上な猟犬たち (コバルト文庫)
2015/7/31
藍川 竜樹 (著)

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偽姫 
乙女の選択と下剋上な猟犬たち 

藍川竜樹

守護獣と契約してしまい、伯爵令嬢の身代わりに“天空城”に出仕したティナ。御曹司の求婚攻撃をかわしながら社交界デビューを果たすが、その席上で王都襲撃計画を知ってしまう。レギオンと共に容疑者を探るうちに、名目上の“婚約者”であるレギオンの兄・ルーファスと出会ったティナ。だが、レギオンの孤独な立場を知ったティナは彼にどんどん惹かれていき…。果たしてティナの運命は!?
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最高位の守護獣と契約してしまい、公爵を継ぐことになってしまったティナだが、彼女を手に入れようとするギラギラした展開に、未だ目覚めぬリリアへの遠慮もあり、理解しているつもりでも理解しきれていない状態。そんな草食兎系のティナを守ろうとするレギオンだが、彼はティナを敬愛する兄の嫁にしようと考えていて…

SFっぽいファンタジーという大胆なスタートですが、2巻でました。
1巻が、登場人物と設定の説明的な部分など、作りこんでいた部分が多かったのに対し、二巻はかなり力の抜けた  作者のギャグに走りたくなる癖全開といった巻で、ノリツッコミの多い展開です。
煮え切らないレギオンと、婚約者を決められないティナとの関係も、かなり背中痒いですが、ジッレッジレに焦らされた甲斐のあるラストになっております。
自分を”痴女”だの”マゾ”だのと考える自虐ネタと天然すぎる部分が、時々ものすごく鬱陶しいヒロインだが、ポイントを押さえた背中の痒い甘い展開は楽しかった。

あらすじ
「どうした」
「あ、つい、見惚れて……」
ティナから遠ざかるように半歩引く。レギオンの全身から警戒心がわきのぼっていて、ティナは顔をひきつらせた。
いろいろあって、兄上至上主義のレギオンは<リリア>に兄の嫁にならなかと申し入れている。そしてティナも前向きに考えると答えたのがつい一月前。
だからこの場合、レギオン(義弟)からしてみれば、兄嫁に見惚れたと告白されるという、まずい状況になるわけで。
(いやあああああ、またまた浮気な痴女扱いされちゃうっっ)

最強の力を持つ炎の階一位の守護獣グリュンドルと契約したティナが、その意思で制御できるようになるために、鬼教官レギオンから猛特訓を受けている。
そんな折、公爵から社交界デビューを言い渡された。守りの固い天空城を出ての本土でのデビューにレギオンは反対するが、シーズン中に形だけの婚約でもすれば、断る理由を作れると言う。
でも一度婚約すればなし崩し的に結婚させられるのは目に見えている。公爵は<リリア>を誰かの血族にしたくてしかたがないのだ。


冒頭の経緯。というわけで、嬉し恥ずかし社交デビューの巻です。いつも以上に禁欲的な凛々しさと男の色気のレギオンに、ティナは中身が伴わない自分を恥ずかしく感じるしまつ。一方、レギオンの反応も萌。
血族を手に入れるために、無差別攻撃をしかける計画があることを知らされ、リリアの身代わりでしかないティナが、公爵を継ぐことを視野に、次々に決断を迫られます。
<リリア>を手に入れるためにプレッシャーをかけられる男達の中には、レギオンと、レギオンの兄ルーファス、そして年下のセドリックも…
レギオンの生家であるラザフォード家の確執。とりわけ、彼の母と兄の母との確執は大きく、レギオンの孤独な一面をティナは知ることに。そして、兄ルーファスの登場で揺れる後半へ…

生真面目なレギオンがラストに大胆な宣言をしてくれて、男(´∀`∩)↑age嬉しい。
ティナをめぐる争いがさらに激化してきましたが、レギオンは守りきれるのか、そして天然ボケヒロインのスルー攻撃を突破できるのか?楽しみにしております。
というわけで、もう少しスペース・オペラ的に壮大でシリアスになるのかと思ったが、ギラギラした男どもに狙われるヒロインを楽しむお話というレベルに落ち着きそうです。
ぼけすぎて私的にイラッとくるヒロインと、乙女の壺を押さえた背中の痒いポイントは、藍川竜樹の短所と長所でもあるので、これはもうこれで仕方ない的な…

実は、作者のシリーズは、いつも途中でヒロインのボケに辟易して挫折するのだが、今回はどうだろう…?次巻も楽しみにしています。

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偽姫 血族の花嫁と捕食者たち 藍川竜樹
2015年06月09日 (火) 13:42 | 編集

偽姫 血族の花嫁と捕食者たち (コバルト文庫)
2015/4/1
藍川 竜樹 (著)

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偽姫
血族の花嫁と捕食者たち

藍川竜樹

侍女の私が血族を束ねる女公爵!?守護獣を使役できる血族の娘・リリアの侍女ティナは事故で守護獣と契約し、次期公爵候補に選ばれてしまう。そのせいで婿の座を狙う血族の御曹司達に逆玉の輿婚の標的にされてしまうわ、たった一人求婚してこない教官のレギオンからは「俺の兄の嫁になれ」と口説かれるわで…!?男の園で繰り広げられる捕食者系御曹司達の求愛の嵐に耐えられるか―!?
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純粋で壮大(予想)な召喚ものファンタジーです。
表紙裏の作品紹介から、逆ハーものとだと思い込んで読み始めると裏切られ感があるのでご注意。
この作家さんのシリーズは、突飛なギャグで始まる割には陰謀渦巻くシリアスな展開になり、その落差がいつも気になっていただけに、今回はファンタジーとして1巻から楽しめそうなお話で、楽しみ。
物語の序章の1巻。
彼女が守護獣を契約してしまった顛末と、身代わりとして周囲の思惑によって翻弄されながらも孤軍奮闘し、よそのお家の問題に首をつっこみ、謎を解き、味方をみつけ、己の真実を知るまで。
こういう話は、続かないと面白くないので応援ヨロ★
偽物”リリア姫”として彼女がどこまで頑張れるのか?、兄嫁にと必死な残念男レギオンとの行く末とともに見届けたい。

あらすじ
アヴァロン王国は七つの大陸の果てにある大海に抱かれた、数々の島からなる国だ。
ケリー家の娘リリアは、成人の儀を執り行う。
しかし、リリアが召喚したのは、”炎のグュリュンドル”!?
見守る侍女のティナの目の前で、炎の一位の守護獣はリリアを弾き飛ばした。
リリアをかばうためにティナは、光の輪のなかに飛び込んだ…


冒頭の経緯。リリアの代わりに最高位の守護獣と契約してしまったティナは、次期公爵候補に選ばれてしまう。
守護獣の主となった者は、公爵閣下に挨拶し、承認を受けるのが決まり。
しかし、認証の失敗によりリリアは目覚めず、ティナは自ら出向く決意をする。
青い空に浮かぶ、王都の本島。
公爵からは、脅しまじりで女公爵として嫁になるか”天空の城”で一家の主となるために研鑽を積むかのどちらかだと命じられた。
”天空の城”では、血族の男に追いかけられる日々が始まったが…

臨時教官であるレギオンに守られ、痴女扱いされながらも、がっちり防御なので、男性との絡みはないです。
中盤早々に、舞台をウォレス家に移し、お家問題に首をつっこみながら、彼女の力を手に入れるために、様々な思惑がからむというお話。
ヒロインのティナは、”武術を特異とする凛々しいリリア”になりきれず、ついつい侍女らしいお世話癖を出してしまう、ビクビクうさぎ系。
ヒーローのギデオンは、高位の守護獣を召喚してしまったために様々な葛藤を抱えながらも、敬愛する兄のために、最高位の守護獣をもつティナを嫁にさせようと考える残念な男。
ヒーロー&ヒロインともにズレた思考の天然系で、笑える。
物語はシリアスになりそうだが、今回も個性あふれるキャラクターで、脇役も癖のある人物。
ちょっぴり切なく甘いラブの予感と、笑いを入れずにはいられない作者らしさは好きだ。
一言でまとめるなら

ズレたカップルにクスっと笑いつつ、みっちり感。

----備忘録----
ティナ   ヒロイン 
リリア   召喚に失敗し、昏睡
ケリー夫人 リリア母”アシュリー家の雌獅子”の異名(ティナの母)
モリィ   侍女

レギオン・ラザフォード ”風系”名門家の次男 流れ着いたあの時の少年
サライス・リッチモンド ”土系”レギオンの同期、放浪癖
ジャック・ウォレス ウォレス家の跡継ぎ

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聖櫃の癒し手 -Restauro-  藍川 竜樹
2015年01月13日 (火) 14:23 | 編集
聖櫃の癒し手 -Restauro- (コバルト文庫)
(2014/10/31)
藍川 竜樹

聖櫃の癒し手 -Restauro- (コバルト文庫)

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聖櫃の癒し手
-Restauro-  

藍川 竜樹

神の力を無効化する“堕天の徒”と忌み嫌われ、所属する聖庁のあらゆる部署をたらい回されてきた新米神技官のエリスが次に配属されたのは、変人の巣窟と噂の窓際部署・聖櫃修復室。そこでエリスは、癒しの手をもつ天才的な聖櫃修復士だが、聖櫃馬鹿で人を人とも思わないドS変人のカルヴァンと組まされるはめになり…!?神の力の容れ物“聖櫃”をめぐるゴシック×ラブ×ファンタジー!!
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いつも、ボケたヒロインから始まり、シリアス路線に強引に変更する印象がある作者なのだが、この作品はしっかりしたヒロインで、ボケは暴走せず、主人公の成長を軸にとても良くまとまっていた。
もちろん、クスっと笑える、突っ込みがいのある主人公達。浮世離れどころか、人間離れしているカルヴァン相手に、怒りを抑えるエリスとのやりとりは、微笑ましく楽しかった。
作者は、改稿に苦労したとあとがきで語っているが、それだけ良い作品だと思う。
単品でも楽しかったが、続刊はあるのかしら?ありそう?

あらすじ
「ごめんなさい、ごめんなさい、守ってあげられなくて」
その美しい人は泣いていた。泣きはらした眼で、かすれた声で、その美しい人、母は言った。夫の喪に服した黒いドレスの膝を床につけて、母は自分を抱きしめていた。
5歳の自分にもわかっていた。
自分は<堕天の徒>というらしい。
この世界には神様が与えた<聖櫃>というものがあって、人に恩恵をもたらしてくれている。でも堕天の徒はその力を散らしてしまうのだ。
神様の力を無に帰すくせに、その力を取り込まなくては生きていけない歪な存在。そのうえ神様の御使いでもある天使を騙るかのような純白の羽を持つ。
母を泣かせたくない。
だからエリスは約束したのだ。

「母さま、心配しなくていい。私は聖庁で教育もされるのだろう?だったらきっと偉くなってこの邸に帰ってくる。そして幸せな花嫁になって、母さまを守ってあげるから」

それがどんなに困難なことか、その時の自分は知らなかったから  


序章から。人より背が低く、幼くみられがちなエリスだが、は率直に意見を述べすぎた結果、あちこちの職場をたらい回しにされた挙句の転属命令が下った。聖櫃の修復中の暴走事故で父を亡くしたのに、よりによって修復室勤務。
しかも、聖櫃局の局長・エリオットから、修復室の必要性を探るように命じられた。
修復室は変人ぞろい。室長のアーバスはオネエ言葉の執事姿。修復室きっっての天才修復士カルヴァンは、聖櫃バカな上に、変人で…?

二人で組んで、いまにも堕ちそうな(絵が暴走し破壊行動にはしる)絵画、<嘆きのレディ>の修復に向かうが、二百年近く雨を降らし続ける絵に対し、持ち主の成金メルヴィル以外の周囲の反応は冷たく、破壊を望む何者かに二人は修復を邪魔されることに。
修復の妨害に必死に対応する二人だが、破壊士達が動きだし…

絵画の修復に関する知識も、上辺だけではなくかなり突っ込んで修復への意欲を見せてくれる。画家のいた時代、絵がかれた状況、作者やモデルの意思がどのように影響を及ぼし、今の状況を作っているのか。
個人的な感情が様々に入り乱れ、絵を破壊しようとする動きの中で、絵を救いたいと願う二人の一途なきもちが、とてもぐっときた。
おもしろかった。

いじめっこマルコの小学生並な好きの裏返しの行動が、泣けてくるな。
カルヴァンってばッ!彼女は細くて柔らかいと手で確かめたはずなのに、なぜムキムキを…?。と、とりあえず突っ込んでほしそうだから突っ込みを入れておく。

-----備忘録-----
カルヴァン・フィリーニ 修復士 殺し文句「俺が癒してやる」
アーバス・ファンデル 修復室室長 おねえ執事

マルコ 破壊士 いじめっこ
レオネル  破壊士 敵対心 
エリオット・F・クラーク 局長 

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覆面竜女 巫女は目指す、六花の頂点 藍川 竜樹
2014年12月15日 (月) 15:06 | 編集
覆面竜女 巫女は目指す、六花の頂点 (コバルト文庫)
(2014/10/01)
藍川 竜樹

覆面竜女 巫女は目指す、六花の頂点 (コバルト文庫)

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覆面竜女
巫女は目指す、六花の頂点 

藍川 竜樹

竜女選考二次試験のため、単身漣王府へ旅立った蓉華はかの地を蹂躙する「魍魎の王」・獄牙と対峙することに。奇しくも漣は蒼翔の母・月淑妃が命を落とした地。命日を目前に、蒼翔ら皇族達もまた漣に集っていた。だけど、蒼翔が錯乱した皇帝に反逆の冤罪を着せられ、蓉華も謀反の重要参考人として榎洛に拘束されてしまい…!?竜女の座をめぐる、愛と謀略の攻防戦は最高潮に向けてさらに加速!!
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漣王府へ旅立った蓉華は、その地で獄牙退治を試験の課題にされた。
そして、偶然にも(偶然多いナ…)蒼翔の母・月淑妃の命日を前に、蒼翔ら皇族達も集まる。
しかし、皇帝は蒼翔の顔を見たとたん、月淑妃だと叫びだし…

竜女関連に関しては、かなり血なまぐさくて、グロイシーンもありです。
蒼翔を意識するようになった蓉華ですが、彼女の危うい行動に嫉妬に狂いそうになった蒼翔の姿は、キュンポイント。
蓉華だけでなく、榎洛を慕う桜花など、自分の信じるもののために、一生懸命に頑張る女の子達がかわいい。

とはいえ、本音を言えば、一巻からのギャグの高低差にこれまで何度か耐えてきたものの、不意に心が折れてしまって、本来なら話がシリアスになり面白いところなのだが、個人的にあまり楽しめなかった。
忘れた頃に覆面を思い出させてくれてくれるのだが、ボケにつきあうのにちょっと疲れた。(ちょうど年末の忙しい時期だから余計に…)

あらすじ
蓉華は菁杷から、古の天女・天華様の意思を守るために、竜女の血を使い竜魂薬を作っていたと、生々しい事実を知らされた。
皇族である夏家と、竜府の不仲の理由を知らされるが、次々と聞かされた話に頭がついていかない。だけどひとつだけわかったことがある。

もし竜女になれたとしても、蒼翔の手をとることはできない。

竜女選考二次試験のため都を出立。そんなこんなで試練の旅が始まった。蓉華の行き先は漣。
途中、試験管の黄桐に試験の内容として、獄牙の退治の指揮官も試験として見ていると教えられる。
試されていると感じる中で、魍魎に虐げられる者達を救うために、試験とは別に漣王府に派兵を願うことに。
すると、漣王府の城には蒼翔の姿が。
幻じゃない。夢でもない。だって夢の中の彼はもっとおとなしい……。

「わたしの夢をみてくれているようで嬉しいが、さて、困ったぞ。これでも本物だと認めてもらえないのなら、次は口づけるしかないのだが……」


中盤までのあらすじ。後半、亡くなった月淑妃と混合し錯乱する皇帝によって、蒼翔をは反逆の冤罪を着せられてしまう。重要参考人として、蓉華も榎洛に捕われてしまったが、蓉華は花桜を人質にとり自力で逃げ出した。
蓉華の身を案じ、榎洛に嫉妬を燃やす蒼翔。その彼に、蓉華は竜女選考に戻ると宣言し、離宮へ向かうことに…
後半は、獄牙退治の顛末です。

竜女候補の試験中とはいえ、その力を知らしめた蓉華。
竜女も、恋も、両方手に入れたいという彼女の願いは叶うのか…?
竜女を使い捨てにする芳妃や、蒼翔の母・月淑妃などは、伏線だけ。そんなに怖い月淑妃って何者ヨ?
疑問が増えました。終わりまであと少しです。
続刊でます。

----ごめん、折れた---
ギャップに疲れてしもた。

藍川竜樹  読了一覧

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覆面竜女 皇帝は欲する、天界の華 (コバルト文庫)
(2014/12/26)
藍川 竜樹

覆面竜女 皇帝は欲する、天界の華 (コバルト文庫)

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