本読み隊
本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱 高殿円
2014年09月27日 (土) 16:03 | 編集
シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱
(2014/07/24)
高殿円

シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱

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シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱 

高殿円

2012年、オリンピック開催に沸くロンドン。アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、早々に除隊したものの、物価の高さと仕事のなさに鬱々としていた。このままでは路頭に迷ってしまう。そんな折、友人ミカーラからフラットシェアをすすめられた。シェアの相手はシャーリー・ホームズ。ちょっと変わった女性だという。だが、実際に会ったシャーリーは、ちょっとどころではなく変わっていた。乗馬服に身を包んだ清楚な美貌、人工心臓を抱えた薬漬けの身体、初対面で経歴を言い当てる鋭い観察眼、死体置き場で寝起きする図太い神経。なにより驚いたのは、彼女が頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう、世界唯一の顧問探偵であることだった。 ベイカー街221bで同居を始めてまもなく、ヤードの女刑事グロリア・レストレードが訪ねてきた。死体がピンク色に染まる中毒死が続発しているらしい。いまだ無職のジョーはシャーリーに連れられて調査に赴く。それは二人がコンビを組む、初めての事件だった。 表題作に短篇「シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ」を加えた、目覚ましい独創性と原作への愛に溢れた、女性化現代版ホームズ・パスティーシュ登場!
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高殿円さんのお声がかりで始まった、女性化現代版ホームズ・パスティーシュは、ミステリーマガジンでの企画”禁断の百合ホームズ”となって、『ミステリマガジン 2013年 04月号 [雑誌]』で前編が連載。
2014/4、5、7月号で完結した作品をまとめたもの。
+同人誌の形で出された『シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ』が収録
ラノベ感覚で読める楽しさあり。
ちなみに、百合要素はありません。
本の厚さはそれほどでもないのだが、読みごたえのあるお話です。
ホームズもワトソンも女性なら、レストレードはシングルマザー、犯人ももちろん女性、そして犯行の手口も女性ならではの発想。
事件に関しては男性が読んで楽しいのか、かなり微妙な雰囲気です。

あらすじは、かなり詳細にデータベースで紹介されており、ミステリなので、割愛。
007なみにぶっとんだハイテク設定と、ゴージャスな女性陣ですが、
この巻きは、『緋色の研究』からのパスティーシュで、原作の要素てんこもり。
出会いと事件です。

キャラに関しては、謎が多く、続刊が欲しいナ。
以下、続刊が出た場合に気になる点のまとめ、
アフガン帰りのジョー・ワトソン。多くを殺し過ぎたと言われ、重要人物の顔を唯一知るといわれる、いわくつきの軍医上がりの彼女は、平凡で普通に結婚を夢見ている。
ことの真相はどうなのか?
人工心臓を抱えるシャーリー・ホームズ。モリアーティー女史との因縁は重く、ラストのシーンにたどり着くまでの経緯は…なにヨ。
何があったのヨ。白雪姫の横で途方に暮れるこびと!気になるじゃないノ。続刊ッ!って、叫べば、My pleasure(喜んで)って出してくれないかしら。

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上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部 高殿 円
2014年07月31日 (木) 14:11 | 編集
上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部
(2013/11/16)
高殿 円

上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部

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上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部 

高殿 円

バイトからのたたき上げである鮫島静緒は、百貨店の洋菓子部門でキャリアを積み重ねてきた30代半ばの苦労人だ。洋菓子以外にも手がけたフロアリニューアルが成功し、契約社員から晴れて正社員になったはいいが、突然の人事異動で男性ばかりの外商部に唯一の女性として配属される。実はカリスマ外商員・葉鳥の退職を控え、それまでに彼の顧客との太いパイプを繋げるべく、さまざまなメンバーが集められたのだった。これまで仕事では成功を収めてきた静緒だが、プライベートでは同僚・神野と別れたバツイチの身。勝手が違う外商の世界に戸惑いつつ、交渉成立を目指してお客様のところに足を運ぶが―。
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離婚を経験し「自分には恋愛は向いていない」と結論づけた、百貨店で働く女子、鮫島静緒。
高卒、製菓専門学校出でバイトから叩き上げ、出世した外商部で、慣れない外売という仕事につき、上流階級のお客様を相手に戸惑い苦悩しながらも、仕事の楽しさや、人間関係の素晴らしさに気がつくという話。
トッカンを読んだ方ならご存知かと思いますが、ハッピーエンドなロマンスではなく、仕事をバリバリこなし成長しながら、外商という仕事のノウハウや人生観を考えるといったお話です。
一般人には馴染みのない外商という仕事がどんなものなのか…。
冠婚葬祭、出産からその客の人生の終わりまで、無茶な注文すら叶えるために奔走し、その客の人生のパートナーのようなものなのだと、教えてくれる一冊です。
ちょっぴりほろ苦い、大人女子のためのエンタメ感のある作品

あらすじ
 青い目の白馬が回る。

七歳の私が好きだったのは、開店前になると分厚いガラスの扉の向こうにずらりと並ぶ、お仕着せを着せた販売員たちを見ていることだった。
大時計の針がぴったり十時を指すと、魔法のドアが開いて、待ちかまえていた私を宝石箱の中に招きいれる。

「ようこそ、いらっしゃいませ」

■□■
百貨店なんかで定価で買うのは馬鹿だと言われることも多い。
金持ちは少ない。
(だけど、いる)
その一割の金持ち相手に、百貨店の年商三割を叩き出す。それが静緒たち究極の営業  百貨店の外商なのだ。
鮫島静緒は中途採用で、しかも高卒である。父を仕事の事故で亡くした静緒は手に職をつけるため、製菓学校に進み、同窓だった君斗と雇われ店長とバイトという形で再会した。君斗は今でこそ”生クリーム王子”と呼ばれているが、富久丸百貨店に引き抜かれるまでずっと一緒にやってきた、いわば戦友だ。
君斗の作る品を、百貨店に送りつけ、ローベルジュの販売員として二年、富久丸百貨店芦屋川店に立ち、その実績を買われ契約社員になり、バイヤーになり、自信をつけたところに、急遽外商部への移動があったのだ。
伝説のスーパーカリスマ外商、そんな肩書きがまったく大仰でないほど、優れた外商員の葉鳥士郎。黒のボウタイが唯一許され、晴れている日も傘を持つ、富久丸百貨店の英国紳士こと葉鳥氏が、定年まで残す所あと二年というところでいきなり辞表を出したのは、今年四月のことだった。
関西の財界人との極太のVIPのお得様を誰が引き継ぐのか…
「女性をいれてください」
彼のこの鶴の一声で、正規の富久丸百貨店社員として男の城に入ることになったのだ。まだ外商に残れると決まったわけではないけれど。
葉鳥が退職までに、十人がテストされる。ノルマは毎月1500万。
桝家修平もそのひとり。初対面で悪感情をぶつけられたまま黙って逃げるほどヤワでもなかった。
入れたばかりのコーヒーを倒すふりをしてシャツにぶっかけてやった。

「で、これだけ?」

彼はそう言うと、事務所の電話の受話器をとり、グッチの店員を呼びつける。「暴言の代償がシャツ一枚」そう言って、目の前でシャツを脱いだ。あろうことか、それをゴミ箱に投げ捨てた。

「あんたのプライドって安いな」

半裸の背中を見送りながらひとりごちた。  そうでもないだろ、ミラ・ショーンだぞ。


冒頭の経緯。彼女の父への思慕、葉鳥士郎との出会いや敬愛の回想を交えながら、時にクリスマス前で品切れのカメンライダーのベルトを探し、有名パティシェのバースデーケーキをねだられ、パーティーのアイディアを出し、リホームの相談をうけ…
新規の顧客を探すとヤクザの愛人だたったり…
そんな中、葉鳥士郎の客の近くに住むべきだという提案で芦屋のマンションを紹介されて住み始めると、桝家が同居することになって…

桝家を知ったり、元夫と話しをしたり、葉鳥士郎と客の関係を勉強したりと、前半はとりとめのない雑多な出来事が多いのだが、後半でそれらが繋がって解決していく子気味よさが楽しかった。
桝家は、ぼんぼんのようで、なかなか鋭い男なのだが、後半は、かなりキャラが変わって笑う。とりあえず、彼の秘密はヒミツにしておこう。
威勢が良く機転のきく、頑張る女子が好きな人は楽しい作品だと感じると思う。

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カーリー  2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日 高殿 円
2013年04月11日 (木) 16:13 | 編集
カーリー <2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日> (講談社文庫)
(2013/03/15)
高殿 円

カーリー <2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日> (講談社文庫)

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カーリー  
2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日 

高殿 円

象に乗ってオルガ女学院に転入してきたバローダの第一王女・パティ。彼女のわがままが元で学院は大混乱。ルームメイトのカーリーを奪われたシャーロットも落胆する。しかし、パティの秘めた恋を知った時、少女たちは結束する。戦争や時代に抗うために―。第二次世界大戦の開幕までを描くシリーズ第二弾
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寄宿学校での楽しい生活。
友人達と過ごすことに憧れる娘がまたひとり増えます。
我がまま姫のバローダの第一王女・パティ
パティが来たことで、カーリーと話すこともできなくなったシャーロットはヤキモキ。
イギリス人の彼との駆け落ちを画策するパティの心の内を知った彼女は友人達に呼びかけ、女の子の秘密を共有し計画を立てる…
恋を応援し、友情を育てる娘達。
しかし、イギリスのスパイMI6が絡み、独立を目指すインドとイギリスの思惑が影を落とす。

短い学園生活で、友人達とファグマスターを得たパティ
パティが恋の覚悟を伝える場面は泣けました。
カーリーとシャーロットの関係よりは、パティを主軸にして物語が進みますが、ラストのエピローグで二人は大きな転機を迎えます。

あらすじ
”ホーリー”三月では一番はじめの、満月の夜。
インドが春を迎えるための、一年に一度の赤の粉かけ祭り。
インドの西の大国、バローダ藩王国にある祝砲は21発。結婚式には21発の祝砲を鳴らそうと祖父は言った。パティは、大国同士の結びつきには婚姻関係を結ぶ以上の手はないと理解していても、面白くなかった。
祖父からプレゼントされたカメラを片手に宮殿を抜け出す
知り合った新聞記者のエドワードと意気投合し、粉掛け祭りを堪能した…
イギリスでの寄宿学校生活を教えてくれる彼の話に憧れた…
彼は、インドの壊される運命の建物を写真に遺したいと言う。

ヒンドゥとイスラムに英国が混じりっても、きっと美しいものはできる  

それから1年。婚約を知った彼は、言った。君を連れて行きたいと…

  愛しているんだ」

シャーロットは、迎えに来た叔母の手を振り切ってインドに残ることに決めたことで、家族の手紙もないことを寂しく感じ、世界情勢に不安を感じながらも、カーリーにヒンドゥ語を習い始め、楽しく過ごしていた。
ところが、この時期に転入生がやってきた。
本物のインドのプリンセス。
我がまま姫のパティに振り回され、カーリーをパティのメイドにされてしまった。
特別室から追い出されたヴェロニカがルームメイトなんて、最悪。
カーリーは、ヒンドゥ語を教えてくれる時間もなく、せっかくの時間も風邪を引いているらしく、声が枯れている…

アムリーシュ、あなただって、こうやって特別室にいられるおかげで、びくびくしなくてもいいんじゃない。
パティは、ここに来た目的を従兄弟のアムリーシュであるカーリーに語る…

「俺は、ずっとあの子の傍にいて、シャーロットを守りたい」

「でもあなたは、もうできないはず。そうよね」


パティは、生徒全員に恐れられているベリンダに、ファグマスターになって欲しいと頼みこみ、物好きなお姫様の行動に 周囲は驚きをかくせない。
シャーロットは、紅茶夫人のパーティーで助けてくれたアムリーシュは、義理の弟かもしれないと、行方を探し始めるが…
パティの駆け落ち計画をしったシャーロットは仲間達に呼びかける…
はたして成功するのか?

ヒンドゥー語で愛の言葉を語らせて、カーリー、ヤンデレ
「たまらん…」笑った。
ヴェロニカとの友情や、女の子どうしの秘密の結束する物語が楽しいながらも、恋をして成長するパティが切なくてほろ苦かった。

ファミ通では、2巻までしか出なかった。やはり、こんなに面白かったのに、近代史で、しかも、インドが舞台で、少女小説なのにファミツ通で出したのが敗因だったのか…
文庫本で続刊が出るのは嬉しい。 バンザーイ!
カーリーの正体を彼女が知った先の4年後から?
運命に翻弄される二人はどうなるのか?
インドの独立の歴史という、日本にはあまりなじみのない物語の舞台を分かりやすく教えてくれる。
早く読みたい。

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カーリー 1 黄金の尖塔の国とあひると小公女  高殿 円
2013年03月24日 (日) 23:52 | 編集
カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女> (講談社文庫)
(2012/10/16)
高殿 円

カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女> (講談社文庫)

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カーリー
<1.黄金の尖塔の国とあひると小公女>

高殿 円

第二次世界大戦前夜、故郷ロンドンを離れ、英国統治下のインドへと渡った14歳のシャーロット。駐在英国人の子女が通うオルガ女学院の寄宿舎で出会ったのは、神秘的な少女・カーリーガードと、個性豊かな仲間たちだった。激動の時代を懸命に生きる少女たちの姿を描き、熱狂的なファンを生んだシリーズ第一作。
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本編 黄金の尖塔の国とあひると小公女
短編 恋と寄宿舎とガイ・フォークス・デイ

ファミ通文庫から2006.4に出版されたものを、講談社文庫から増補です。
二巻までしか出版されなかったものですが、続刊もつけてくれるというファンには嬉しい文庫化。

第二次世界大戦前夜。激動の時代を生きる少女の物語。
母はインドの男性と逃げたらしい。一縷の望みもあったインドでの寄宿舎生活で知り合った親友達。母の行方を知る手がかりを求め、シャーロットは紅茶夫人のパーティーに行く。
インドの中の小さなイギリス。本国に複雑な思いを抱き、この国で幅をきかすイギリス人。
寄宿舎の中での生活、夫人のサロンから、次第に見えてくる世界の縮図。
小公女を意識した、女の子達の和気あいあいとした楽しさだけではなく、子供から大人へ、自立し考える生きる強さを身につけて行く少女の成長を主題に描きます。
娘を捨てた母の行方、前途多難で悲恋を予想させる恋の行方に注目でス。

    1930年代後半、英国統治下のインド。名目的に自治権を得ている”パンダリーコット”の中のイギリス人社会。英国保護区を「小さな王国」(ステーション)と呼び、イギリス本国を「ホーム」と読んだ保護区の寄宿舎の女の子達の物語    

あらすじ
懐かしい、八つか九つのころの夢をみた…
「”ふしらだ”な母親は、おまえもじいさんも捨ててインド人のほかの男のところに行ったんだ。」
義弟の言葉に泣き、男の人に触られるとしゃみがとまらなるシャーロットを、慰めてくれた東風の神(エウロス)のような彼。

「じゃあ、きっと俺が特別製なんだよ」
その目は、ママの宝石箱のオニキスと同じ色をしていた…

インドの寄宿舎に来たシャーロットは、旧時代的な寄宿舎の決まりに驚く。寄宿舎内で王女様然としたヴェロニカ。その取り巻きの双子の姉妹。温厚そうな暮らすメートのヘンリエッタは、ヴェロニカに挨拶するべきだと言うが、シャーロットはいいたいことを言った。
そんなことができたのも、カーリーがいてくれるから。
ルームメイトのカーリーから、多くのことを学ぶシャーロット。彼女はカーリーから、世界を見る。
やがて、ヘンリエッタや、有名デザイナーの養女ミチルも仲間に加わった。
カーリーは初めての友達で、大切なのだと、赤くなって上手く話せないながらも伝えた…

「約束する。私はいつまでも、なにがあってもあなたの側にいるよ」
 プロミス
「約束……?」

なのに、カーリーはイギリスへ帰るべきだと言う…
初めての喧嘩をしてしまった…
行方不明の母を探したかった彼女は、紅茶夫人のパーティーに、隣人のエセルと行くことになった。
そして、パーティーの入り口でエセルが離れ、窮地に立たされた彼女を救ったのは、カーリーに似たインドの正装をした青年だった…

スパイの裏の顔をもつエセルは、シャーロットの母を知っている…
紅茶夫人リンダ=キャスルトンの企みとは…
そして母は…

イギリスに敵意を燃やすイギリス人。時代背景や、キャラの動きや動機などの細部もさすがでス。なのに、残念ヒロイン!
で、彼を覚えていないのか?まだ、気がつかないのかッ!もしかして?
いろいろと、彼の想いとは違って残念な方向の彼女の気持ちにクスッと笑いつつ、重い展開になりそうな続刊。読むほうにも、覚悟が必要かモ…
少女の成長に期待しつつ、スパイ、陰謀大好きな作者の傾向と力の入り過ぎ具合にクスッと笑いつつ、口には出さないトキメキが詰まったカーリーの行動に転がるッ!

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剣と紅 高殿 円
2013年03月07日 (木) 18:53 | 編集
剣と紅
(2012/11/09)
高殿 円

剣と紅

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剣と紅 

高殿 円

井伊直政は家康にむかって話を続ける。それを訊く家康の相づちは実に楽しげだ。
「十五の年、養母は、この男だけは絶対にいけないと強情なまでに言いはり、ついには髪を下ろしてしまいました。当時、今川義元公の庇護の下、繁栄を極めた駿府より、ありとあらゆる贅沢品を用意した縁談相手を前に、養母は一言、こう言い放ったそうです」
──紅はいらぬ。剣をもて。
戦国の世、女地頭と呼ばれた徳川四天王・井伊直政の養母、井伊直虎。彼女の熾烈な一生を描いた、『トッカン』の著者がおくる渾身の歴史エンターテインメント!
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面白かった!
高殿 円様、今回は戦国の乱世、井伊家存続のために生きる女の生き様!
出産シーンなど、女流作家の生々しさもありですが、井伊家滅亡の縁に追いつめられながらも直前で回避する彼女と、彼女を取り巻く女達の物語は読みごたえありでス。

女は、女の戦い方がある。不吉な兆候を視ることのできる”香”
”香”の人生を家康に語る井伊直政のシーンから物語は始まります。
幼いころからの許婚 亀乃丞 と生き別れ、多くの親族を失う彼女。予兆を知ることはできても直前すぎて何もできない歯痒さと悔しさと、拝まれる重さ。井伊家存続のために奔走する女の戦いと、井伊の城を手に入れようとする小野政次との対立の物語。
”香”に憧れを抱く ””きぬ”は、女としての人間みに溢れ流れるままに生きる人。神がかった不動の”香”と対局に位置しながらも共感しあう。
彼女の紅は死んだ男にさすもの…
紅を施す男への彼女の涙と、紅を求めた男
血を長らえらせるために生きた人々の物語

あらすじ
家康は背中の癰の塗り薬が気に入った。某の養母だと言う井伊直政の話で、家康は興味を示した。
直盛の娘 ”香”は、井伊直政の父 直親(亀乃丞)とは許婚だった。直親の死後家督を継ぎ、女の身で井伊直虎と名乗った彼女は、千里眼の持ち主であると言う…
古墳時代にまでさかのぼる井伊家の初代は、井戸に捨てられていたというが、何故わざわざ『捨て子』であると言い伝えられているのか…
「殿はすでに、その答えをご存知かと」

”小法師”と呼ばれ、村人に崇められる 香。彼女の善き相談相手の寺の住職 南渓は、香の父の兄弟。許婚 亀乃丞と結婚すると聞かされてもいまひとつ理解に及ばないながら、ふくふくした愛らしい亀乃丞は、顔をしかめ小野和泉守直政とその息子三郎左(政次)も好きではないと珍しく悪しざまに言う。
亀乃丞の元服までなにごともないように祈るしかないか…
雨雲とみまごうばかりの黒い雲。忍び寄ってきたのはいったい…

瀬戸村の源太。肥汲みが一国一城の主になれるかと、突然現れたずねてきた。他のものがあざ笑い転げるが、香は笑えなかった‥
亀乃丞の父が、今川に謀反を企んでいると嫌疑をかけられ、切腹した。
小野の策略で叔父二人を失った井伊家。首に化粧を施すのは女の仕事。武家の娘である母 安佐は亀乃丞と香に化粧を教える…

「よいか、これがおのこのする紅じゃ。紅をさすのはおなごだけ。おのこがさすときは刀を手放した時、死んだあとと心得よ」

あの、いやな黒い靄も小人もみえない。
亀は帰ってくる。これが彼との今生の別れにはならぬ、と。
井伊家の男子である亀乃丞の命を救うため香は知略をつくす。瀬戸村の源太に、亀乃丞を頼んだ…

5年後 肥汲みの男は、豪商になり方久と名乗っていた。亀の消息と近隣諸国の動向を教え、香に頭を下げる方久は、今も一国一城の主を夢見ている。
主である今川の駿府からの目付はひっきりなしに井伊家に出入りしている。小田を滅ぼそうとする今川。そんな時勢のおり、小野和泉守直政の病気は重く、息子達を次々に縁組みさせ、その息子 政次と香の縁組みが持ち上がった…
政次が嫌いだからという理由ではない。黒い靄のかわりに見える、あの空を泳ぐ、白く細長い鯉。よくないものだということだけはわかる。言葉にするのは難しいが、香には受け入れがたいのだ。

「そなたには、悪いと思う、 政次。だが、わしは紅はいらぬのじゃ、生涯」


二章までのさっくりとしたあらすじ。
後半は、伊勢の神官の家計であり舞と笛を得意としたきぬの登場。亀乃丞の無聊を癒すために笛を教えることになった二人の長いプラトニックな関係と、彼女の思慕、あっけない幕切れ、そして彼女の決断。亀乃丞の婚儀は奥山氏の娘。今川義元がうたれ、香の父も亡くなり、亀乃丞(直親)と政次の対立は深まる…
死を覚悟する直親と、彼への死化粧…
直親の息子である虎末(直政)を守る彼女の戦いは熾烈を極める…


描かれることのない、他のキャラクターの複雑に絡み合う思惑と欲。あるものは城を欲し手に入れながらも、窮地ではあっさり捨て、あるものは、その城にこだわり手に入れるために恨まれ憎まれる。
語られることのない、亀、政次の心中や、香の本音は他者からの視点で推察するしかないが、それぞれの行動は、切なくほろ苦い。
立身出世を果たした井伊直政を支えた女達ちという、井伊家の存続という主題では子気味よさと爽快感のある物語。

数々の系譜を紐解き、推察し物語を構築する。うんちくと、含蓄のある言葉は、渾身の力作にふさわしかった。

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トッカン the 3rd おばけなんてないさ 高殿円
2012年08月31日 (金) 15:32 | 編集
トッカン the 3rd: おばけなんてないさトッカン the 3rd: おばけなんてないさ
(2012/06/22)
高殿 円

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トッカン the 3rd
おばけなんてないさ 

高殿円

お金の警察とも言われる税務署。しかし税金滞納者の取り立てをする徴収官は、誰からも嫌われがちな存在―― ぐー子こと鈴宮深樹は、京橋中央税務署で、とくに悪質な滞納を扱う特別国税徴収官(略してトッカン)の鏡雅愛の下で働く若手徴収官だ。鬼上司・鏡とのコンビも2年目に入り、ぐー子自身もスキルアップ、鏡の罵詈雑言にもちょっぴり口答えできるようになってきた。だが、調子にのりすぎて鏡の故郷・栃木に対する無知をさらし、鏡の怒りを買ったところ、よりによって栃木への出張命令が。徴税対象の登記が管区内にあれば事業実態が遠方でも管区税務署の仕事だ。つまり、出張してでも状況を調べ、場合によっては差し押さえに赴かねばならない。今回の対象は鹿沼にある運送会社と日光の霊水を使った霊感商法。けれど、思わぬところで鏡の元嫁や地元の同級生などが現われて、波乱含みの旅の予感に……少し成長したぐー子の活躍と、気になる鏡の心の内が明らかに! 人とお金の謎に迫る、話題沸騰の税務署エンターテインメント『トッカン』シリーズ第3弾。

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タイトルの通り、テーマは幽霊。
人とお金との関わりに鋭く切り込むテーマで、今回は、見てみぬふり。幽霊のように、視界にいれようとしない。意識しようとしない。かかわろうとしない。そんな人間の自己防衛の意識と、お金を手にいれるための、人の良心に鋭く切り込んでいきます。
多くの徴収官が多数の件を抱えているようにぐー子の物語も、多数の話が平行して描かれます。話が散漫との意見もありますが、彼女の心理と上手くからんでまとまっていて、私としては面白かった。
ぐー子は、いっちょ前になりつつあり。ついに鏡をぐーと言わせることができる辺り成長でス!栃木ネタやら、自転車ネタでの二人の掛け合いは、笑わせてもらいました。ところでぐー子、栃木は東北じゃない!二度も誤植か?嫌がらせか?突っ込めるのは、栃木県民読者だけじゃないか!!
話が逸れてきたところで、あらすじいきましょう。
ラストは、鏡の娘の法事でのSSもありまス。男の哀愁でス

あらすじ
大見謝酒店は行き詰まっていた。子供達を大学に行かせるお金もない。酒店の掛け金も回収できない、飲んだくれの放蕩親父は家族に迷惑をかける…。娘の加奈は思った。
幸せになるためには、ズルだっている。
そう、多少のズルが。

ぐー子は鏡に言い返せるまでに成長した。もちろん、仕事も自分の裁量をまかせてもらえるくらいにまで成長している。しかし、もう26才。仕事一筋で彼氏いない暦を爆進中の彼女としては、川のなくなった橋の上でアンニュイになったりもする…
具合が悪く欠勤した鏡の様子を見に来た彼女と、鏡の元嫁と鉢合わせ。ハルと呼ばれ、チカちゃんと鏡を呼ぶ元妻、ぐー子を女としても意識していないハルの態度。12年に渡る二人の月日を思えば、ぐー子の気持ちも穏やかではいられなかった。
鏡の部屋と元嫁ネタで、鏡をやり込めた彼女だが、鏡は栃木ネタ での調査を命じられてしまった。
家畜産廃の運送会社、ミツタカ運送の実態…
日光に拠点を置く、銀座の法人 日心会の4千万の脱税の徴収…
鏡の高校の同級”タップン”(キングスライム似)に助けられながら、今日も圧縮にはげむぐー子。課税から出向してきた、与那嶺聡は、樽井にいいようにこき使われているようだ。気になりつつも、自分のことで手いっぱいのぐー子…
ミツタカ運送を一人で追いつめることができるのか?
姿を消した、日心会の原ぜんこの行方は?

「子供手当が入るその日に銀行に差し押さえに行った。ただの偶然といえますかね?」

吹雪敦は、今も虎視眈々と狙っている…
彼の行動をそらすことができるのか?
鏡が曰く付きマンションに住むわけは?
里見署長退職キャンペーン実施中!

ぐー子、お年頃なのに可哀想に…ップ。
たくましく育ってまス。涙
彼女が、ラストに鏡に謝らせる辺り、彼がいつかは離れて行くことを予感する彼女の心理が現れているように感じました。切なくてキュンですが、ラブ好きな読者の偏りがちな感想とし流してください。本当は全体としては、相変わらず頑張るグー子です。この話は、ラブ全面展開したら、面白くなくなるのが辛い所だナ。そこはかとない感じがいいんだナ…
勤労商工会の吹雪敦もチラ見せ的に登場です。相変わらず、怖い笑顔を振りまいてくれまス。今回は的が逸れましたが、いつ仕掛けてくるのか?奴との因縁の対決はさけられないでしょうネ。ワクワク。
里見輝秋さんが、署長 清里さんと入れ違いに登場のようで、そちらも次巻に持ち越し。ぐー子の独り立ちも間近なよな気も。鏡と元嫁の間はどうなっているのか、いろいろ気になる部分を持ち越しでス。
楽しみにしておりまス。

鏡の娘の法事でのSSでは、彼の視点が明らかになるあたり、十字架を背負い続ける彼に、
ダンディ〜ズ〜〜ム〜〜!と叫ばずにはいられない
トキメキの壺『躍胸的壺』<贅沢な身の上あたりニ。

トッカン 特別国税徴収官 高殿 円
トッカンvs勤労商工会


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