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本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
異人館画廊 当世風婚活のすすめ 谷瑞恵
2016年11月12日 (土) 23:16 | 編集

異人館画廊 当世風婚活のすすめ (集英社オレンジ文庫)
2016/9/16
谷 瑞恵 (著), 詩縞 つぐこ (イラスト)

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異人館画廊
当世風婚活のすすめ

谷 瑞恵

成瀬家は、代々“禁断の絵”を守ってきた旧家だ。その絵が盗まれた。当主の美津に絵をさがしてほしいと頼まれた千景と透磨だが、件の絵は異人館画廊に置き去りにされていた。同時期、失踪中の次期当主候補・雪江が遺体で見つかるが、容疑者に浮上した男が千景の誘拐事件の関係者だと判明し!?深まる謎の中、記憶の封印が次第に解けてゆく。緊迫の美術ミステリー!!
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千景を守りたいがゆえに、記憶を取り戻すきっかけを与えたくない透磨だが、一方で彼女の中で嫌われ者であることにジレンマも感じている。
彼女が記憶を取り戻さなければ、透磨への彼女の気持ちが本物になることはないとも感じているのだ。
そして物語は、今回千景の過去にダイレクトに関係してきております。面白かった。
今回は、割とポピュラーな寓意のイメージやモチーフの説明が多く、絵画そのものは「当世風結婚」くらいなので、絵画ファンとしてはちょっと物足りない部分もあるが、中世の錬金術と18世紀の背徳への関心が、今の世の中と禁断の図象術とうまく重なって面白い物語となっていた。
ついに名前だけだったあの人も登場!!

あらすじ
「何、透磨、あの人たち」
人込みの中から、喪服を着た集団が現れた。その中に白いベールを被った半裸の男女。手にはシンクの薔薇の花。 
あきらかに公序良俗に違反している男女を、千景は注視している。
喪服の集団と顔のない男女、夜空を巻い、歩道に落ちた花びらは裸足の足に踏みしだかれる。
透磨は、千景がその絵の中心に存在しているかのように感じ、不意にあせりをおぼえた。思わず肩に手を触れると、千景は不思議そうに振り返る。

「はだかの男がそんなにめずらしいですが?」

「そ、そんなの見てたわけじゃないわ!」


冒頭の経緯。透磨と千景は、成瀬家という宗教家の旧家を訪ねた。当主の美津から、隠れキリシタンの遺産である”見てはいけない絵”の鑑定依頼のつもりだったが、箱が盗まれ絵が消えたので探してほしいというものだ。
そして、異人館画廊に「当世風結婚」の版画の忘れ物。殺人事件で京一が調べていた人物が、異人館画廊に来ていた客で、名前が成瀬雪江といい…

事件を追ううちに、街で見かけた怪しげな集団と関連がありそうな、結婚紹介所との関わりが明らかに。しかも、千景の誘拐事件の関係者だと判明し!? そして絵の行方と、千景の記憶は…?

記憶が戻ったのは、母との大きな溝となる事件でありながら、ほんの一部。透磨の支えによって、過去と向き合い、思い出す勇気と覚悟を決めたということなのです。
というわけで、この巻で透磨との信頼関係も出来上がりつつあり嬉しいのだが、父の存在もきになるだけに、今度の展開が気になる。

サトゥルヌスというと、どうにもゴヤの我が子を食らうサトゥルヌスのイメージが強いのだが、本来は時を司るクロノス(時の翁)(wiki/サートゥルヌス)なのだね。そのあたりピンとこなかったのだ。勉強になった。

参考になりそうなサイトをピックアップ
●フェルメール探訪→ロンドン・ナショナル・ギャラリー見どころその30:ホガース「当世風結婚」
wiki/アーニョロ・ブロンズィーノ
アニョロ・ブロンツィーノ潔白の証明
愛の勝利の寓意
wiki/サートゥルヌス
異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景 谷瑞恵
2015年10月06日 (火) 12:19 | 編集

異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景 (集英社オレンジ文庫)
2015/8/20
谷 瑞恵 (著)

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異人館画廊 
幻想庭園と罠のある風景 

谷瑞恵

図像術の絵を求めて、離島に住むブリューゲルのコレクターを訪ねた千景。絵の持ち主・波田野は、邸の庭園でブリューゲルの絵を再現しようとしているらしい。庭園を完成させれば絵を見せると言われた千景は庭園の謎を追うが、透磨はそれが千景の父・伸郎の設計だと気づく。父の見えない悪意に苦しむ千景は、さらに波田野の息子が起こした事件に巻き込まれてゆき…。
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3巻は、ブリューゲルのコレクターの絵を見せてもらうという代わりに、持ち主から出された難題をクリアするまで。
親に愛されなかった子供という点に焦点をあて、千景の行方不明である父・伸郎の存在をちらつかせてのストーリーとなっております。
図像による暗示のあるなしはさておき、登場人物達の気持ちの動きにポイントを置いて楽しむということで満足。
千景の中で、透磨にどう思われるのかが、かなり重要な位置をしめるようになり、透磨の中でも彼女への保護意識から抑圧するような態度への反省と信頼への展開という大きな進歩を見せ、恋愛面的嬉しい巻となっております。

あらすじ
『ねえ透磨、キスしたことある?』
『どうしてわたしにはしないの?』
ませている、とは思わなかった。彼女の言うキスは、頬にするような親愛のキスだ。祖父母は彼女にキスをする。でも、両親はしない。だから透磨に問う。
 透磨はどちら側なのかと。
■□■
帰国し”キューブ”の仲間との関係も違和感を感じていたものの、しだいに自然なこととして受け入れているような気がする。
ときどき画廊に集まってきては、情報交換をしたり、意味のないおしゃべりをしたりすることに進んで加わっているのだから、自分でも驚きだ。
幼なじみとはいえ年上の透磨に、つい背伸びしてしまう千景だが、祖母の料理に関しては同意だ。
祖母の作った”スターゲイジーパイ”から突き出た魚の尻尾から、ふと思い出したことがあった。
「これ、イカロスの尻尾みたい」
ブリューゲルの作品の落ちたイカロスの姿が、海から足が突き出しただけの姿で描かれている。
ふたまたの尾びれが、二本の足みたいだ。そして、その絵におけるイカロスは、画面の端に小さく描かれているのみで、目立つのは手前の農夫であり、海と断崖のある入り江の奇妙な風景なのだ。
ブリューゲルの絵のコレクターとのつてをさがしている千景は、透磨を頼らないことを祖母に指摘される。
変わり者で人嫌いのコレクター・波田野は、透磨の顧客だというのだ。

「じゃ、透磨、紹介してちょうだい」

「お断りします」

千景は、大学の恩師ヘイワード教授から図像術のカタログ・レゾネ(目録)の協力を求められたことを話した。
祖母からも頼まれ、しばし考え込んだ透磨は、結局うなずいた。
千景の頼みならきけないとでも言いたげな含みだ。むかつくが、どうにか千景はだまっていた。とにかく、波田野に会うためだ。


冒頭の経緯。瀬戸内海に浮かぶ小島に住む波田野は、出会いから使用人を装い、千景を試す。しかも、コレクションを見せるには未完成の庭園を完成させることを条件に出す。ブリューゲルの絵を再現しようとする庭園の謎に挑むことになったが、透磨は設計者が、千景の父・伸郎だと気づいた。
一方、千景は波田野の息子・波田野務にフェリーで絡まれたが、宿泊先の従業員・福坂琢己と波田野の息子が女性とともに深夜に外出するところを、透磨とともに目撃する。
翌朝、海岸でその女性が死んでいるのが見つかった…

素行が悪いと評判の息子・波田野務と、いいなりになっているという福坂琢己。その恋人で、民宿の行方不明の娘、青戸初子。
祖父の絵を模倣した作品を持ち込んだ波田野務の姉…
ブリューゲルの他の作品とともに、絵によって人生が狂ってしまった人々の真相と、庭園の真実とは?

幼いころの誘拐事件で、 透磨と親しかった頃の記憶を千景は無くしているが、時折思い出せたらと、もどかしい想いをし、それを話す透磨にも複雑な想いを隠せない状態。そこに、千景の父の存在が大きくクローズアップされる。
父によって、図像を理解することで、悪意に染まると思われている千景の意地の張り方と、心配故に高圧的になってしまう透磨とのズレが、ジレジレ。
無事信頼関係を築くことができるのかが、ポイントです。
面白かった。

参照→美の巨人たち
ミステリー絵画シリーズ 伝ブリューゲル「イカロスの墜落の風景」

どうでもいいけど、イカロスの墜落を思い出すよりは、”スケキヨ様”だよな…と、突っ込んだ人は何人いて、その人は何歳なのだろうとか…

谷瑞恵 読了一覧

コバルト文庫&オレンジ文庫 読了一覧
異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 谷瑞恵
2015年03月04日 (水) 15:08 | 編集
異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 (集英社オレンジ文庫)
(2015/01/20)
谷 瑞恵

異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 (集英社オレンジ文庫)

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異人館画廊 
贋作師とまぼろしの絵 

谷瑞恵

英国で図像学を学んだ千景は祖母の営む『異人館画廊』で暮らしている。ブロンズィーノの贋作の噂を聞いた千景と幼馴染みの透磨は高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入するが怪しい絵は見つからなかった。が、ある収集家が所持していた呪いの絵画が、展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気づく。しかも鑑定を依頼してきたのが透磨の元恋人らしいと知って!?
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”集英社オレンジ文庫”創刊作品の一つですが、すでに一巻目が出ています(異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女
こちらの出会いの巻を読まないと、図像学による呪いの絵画や、彼らの組織するキューブなどの話についていけないのでご注意。
1巻目は、短編をまとめながらの構成だったが、この巻はひとつの事件をじっくり。しかも、図像学による呪いはお休み。とはいえ、人の心理的な側面から、鋭く絵画を切り、翻弄される人々が描かれ、ミステリーとしても読み応えあり。

登場人物の平均年齢は高めですが、ヒロインは18歳。
少女小説らしい素直で一生懸命なヒロインを描いてきた作者にしては、かなりひねくれたヒロインなのだが、一般文庫に近いものを意識した設定なのだろうか。
少女から大人への過渡期の揺れる気持ちを刺にして表現する彼女の言動は、読者として共感はしにくいが、そんな彼女が巻を経るごとにどのように変化するのか、期待。
というわけで、透磨以外誰も好きにならないようなヒロインかもしれないけれど、応援ヨロ★!もちろん、私は好きよ。

あらすじ
近く県立美術館で開催されるブロンズィーノの展覧会に、偽物が混ざっているとの噂を耳にしていた千景が、真偽を確かめたいと持ちだし、ブロンズィーノの作品が周辺で出回っていないか調べたいと提案したところ、祖母は最近ブロンズィーノの話をプラチナ・ミューズで耳にしたと言う。
透磨を紹介者として、パーティーに潜入した千景だが、彼の機嫌は悪く、千景に新作を自慢げに話かける画家・三堂篤夫を追い払う。

「これでもイブニングドレスじゃなくてカクテルドレスだし、何がおかしいのよ」

「完璧ですよ。僕は不愉快ですけど」

図像を多様し寓意的な絵を残してきたブロンズィーノの作品に、見た人に破滅をもたらす呪われた絵があるのだろうか?美術館にかざられていたということはあり得ない。
噂を意図的に流し、贋作が出回っているのだとしたら…
贋作は、本物の作品を少しづつ汚していく。詐欺的な行為だけではない。美術館に保管され、後世に残されてしまえば、画家の本質に間違った情報を紛れ込ませ、未来の人々をも騙し続けることになるのだ。


冒頭の経緯。透磨をさけつづけていた千景だが、彼から友人に頼まれたと”死”をテーマにしたコレクションの写真を見せられた。その中の一枚、小舟の絵に千景は既視感を感じる。
プラチナ・ミューズ画廊との関係は?
透磨に相談を持ち込んだ相手は、どうやら彼の元カノらしく…
一方で、幼なじみの警察官・阿刀京一が、倉庫の不審火で燃え残った絵画を見てほしいと相談を持ち込んだ。
小舟の絵を描いた画家の卵の相原敬子は自殺しており…

ブロンズィーノを調べ、相原敬子を調べるほど、千景は透磨に対し意地になり自力で調べを進め、何者かに狙われるという展開。
サスペンスなので、詳しくは秘密。

透磨をうならせるほどの学と冷静さを持ちがながらも機嫌の悪さの原因にも気が付けないウブさ、女性らしさを漂わせながらも無防備な面。図像の呪われた絵のように、見るも者を自分は不愉快にさせるのだと、人を好きになりたいと思いながらも、無くした記憶に絡む埋められない孤独からを人を立ち入らせまいとする、千景のそんな対照的な面の揺れ幅が切ない。
絵画を何よりも優先してしまう自分、そして透磨の足かせになっていると感じ、千景は苦悩する。ラストの彼女の言葉と、彼自身が気づかずにいる執着の意味がどのように変化するのか、楽しみ。
もちろん、呪いの絵画のサスペンスも。

どうでもいいが、京一は、どうやらただのボケキャラみたいだ。作品全体がアンニュイだったぶん、なんだかホッとした。

下記をさらりと見ておくと想像しやすい。理解する必要ナシ。
wiki/アーニョロ・ブロンズィーノタペストリーになっていた”愛の寓意”
wiki/死の舞踏_(美術)ダンス・マカブル

谷瑞恵 読了一覧

コバルト文庫&オレンジ文庫 読了一覧

拝啓 彼方からあなたへ 谷 瑞恵
2015年02月19日 (木) 10:36 | 編集
拝啓 彼方からあなたへ
(2014/12/18)
谷 瑞恵

拝啓 彼方からあなたへ

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拝啓 彼方から あなたへ 

谷 瑞恵

親友の響子に「自分が死んだらこの手紙を投函してほしい」と託された詩穂。
響子の死を知った詩穂は手紙を開封し、響子の過去にまつわる事件に巻き込まれてゆく・・・。
ベストセラー作家初の単行本。
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手紙が好きなヒロイン・詩穂が経営する文房具店”おおたより庵”
高圧的な男性が苦手な詩穂は、そこによく来る黒ずくめの客・城山の威圧感に押される。
言いたいことはズバズバ言う、店員の夕佳は、城山は詩穂目当てだと指摘する。
そんなある日、詩穂は城山に中学校時代の友人から託された手紙を見られることになってしまった。
亡くなった友人は何故自殺をしたのか…
心そのものをさらけ出す手紙だからこそ、心に直接響くストーリー

作者初のソフトカバー。
落ち着いた雰囲気を漂わせる詩穂と、不器用な30代なかばの城山とのぎこちない恋愛未満な関係がキュンです。

あらすじ
もしもわたしが死んだら、この手紙をポストへ入れてください。

明るい向日葵模様の便箋には、少々不釣り合いな、そんな文字が並んでいた。中学二年の時に響子から手渡され約束したことは、果たすべきだろうか。
中学を卒業しても続いていた文通は、やがて間隔があくようになり、一年ほど前、詩穂が送ったはがきが宛先不明で戻ってきたのを最後に、交流はなくなっている。
それでも響子は詩穂のことを”ずっと友達”だと思っていただろうか。
確かめることはできないから、詩穂は真剣に悩んでいる。
先月、響子の死を知ってから。

『おたより庵』は、以前からの夢を叶え、三年前に詩穂が始めた店だ。和紙を買い求める黒尽くめの客・城山に怯えると、店員の夕佳は不審者扱いし警戒する。
託された手紙の宛先の中野香苗がまだこの住所に住んでいるのか、どんな人なのかを知りたいと思ったことがこれまでなかった。
その考えが変わったのは、投函しようと決めた翌日だった。

自転車とぶつかり、濡れた詩穂は、客の城山に拾われた。
城山は、無職ではなく、書道家の先生であった。その城山に、濡れた手紙を広げて乾かしてもらったところ、読むつもりのなかった手紙を彼は、一読してしまっていた。

「……見えちまったんだ。刺激的な文章だから、開いているときに目に飛び込んできた」

「だ、だめです、読まないで。信書の秘密は絶対ですから」

●もう一人の受取人
手紙を送ったところ、中野に受け取りを拒否されてしまった…
中学時代のいじめの過去と向き合う切なくほろ苦い大人の物語。

●瓶の中の海
瓶に入れた手紙を城山が詩穂のもとへ持ち込んだ。
やがて、瓶の持ち主の婦人が現れる。婦人は母の形見の品の瓶の中のメッセージを詩穂に語った…
母と娘の確執を溶かす、温かい物語。

●幾つものメッセージ
”助けてください。私はストーカーに狙われています”
不信な”きょうこ”からの手紙が町内の一人暮らしの女性宅にばらまかれている。
歪んだメッセージを送る目的は何なのだろう。
そんなとき、詩穂の元彼が突然現れた。以前と変わらず、詩穂を否定し支配しようとする加島に…

●世界で一番短い手紙
●脅迫状に願いを

ホロリと泣ける物語から、後半は緊張感のある展開に。
詩穂の手紙を関わりを持つようになった城山の素性や過去が徐々に明らかになっていきます。なので、後半は秘密。
高圧的な男性が苦手な詩穂が少しづつ城山を理解しはじめる恋愛未満の過程がほのぼのして良いです。読者も一緒に、ちょっとした驚きを味わってください。
なんでも言いたい放題の夕佳ちゃんの突っ込みが楽しかった。

谷瑞恵 読了一覧

コバルト文庫&オレンジ文庫 読了一覧
伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて 谷 瑞恵
2014年05月25日 (日) 10:51 | 編集
伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて (コバルト文庫)伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて (コバルト文庫)
(2013/12/27)
谷 瑞恵

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伯爵と妖精
新たなるシルヴァンフォードにて 

谷 瑞恵

すべての戦いを終え、平和を取り戻したリディアとエドガー。息子のアルヴィンも1歳半になり、エドガーは改めて亡き父の領地であるシルヴァンフォードを訪ねることに。だが両親の墓は硬く閉ざされており、墓守の老人はエドガーを後継者とは認めなかった。一方パリへの留学話が出ているポールは、ロタに求婚するべきか悩んでいて…。大ヒットシリーズのその後を描いた愛いっぱいの後日談!!
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コバルト掲載作品
”ウサギの帽子の内緒の話”
”極上のパウンドケーキはいかが?”
”春を待ちわびて”

書き下ろしの作品は、
”新たなるシルヴァンフォードにて”の二作品。
 ”旅立ちは青い空の下”
 ”小さな伯爵のぼうけん”

薄いながらも、内容的にはかなり濃いお話となっております。ああ、これで終わりなのネ?寂しい。

あらすじと感想
●”ウサギの帽子の内緒の話”
 妖精が普通の人には見えないことで虐められていた幼いリディアと母とのお話。

●”極上のパウンドケーキはいかが?”
 伯爵家に来た、新しい料理人は妖精の存在を信じない。伯爵家の奥方のリディアが厨房に入ることも許さない。リディアのパウンドケーキが好きなバターの妖精は腹を立てて…

●”春を待ちわびて”
 同じものを何度も愛着を持って使ってしまうリディアは、ある日自分と同じレースの飾りをつけている女性の噂を聞く。しかも、噂の女性がエドガーと一緒に馬車に乗っていて…
イヤリングの妖精、ヴァイオレットの騒動。

”新たなるシルヴァンフォードにて”
●”旅立ちは青い空の下”
エドガーが領主として治めることになったが、墓守は先の領主息子の生存を信じており、正当な後継者ではない彼に鍵を渡さないと反発する…

シルヴァンフォードに帰ることのできたエドガー、そして、ロタと画家のポールとの旅立ちのお話です。
シルヴァンフォードに戻る複雑な彼の胸中を察するリディアの思いやりあふれる視点で、物語は描かれます。ほろ苦い切なさと幸せを噛み締めるような作品となっております。
墓参りのシーンは、涙でた。

●”小さな伯爵のぼうけん”
父の魔法の筒を壊してしまったと、アルヴィンは妖精界に入り職人妖精を探したけれど…

アルヴィンも成長し、素直な良い子にそだっております。新たに双子が生まれ、ちょっと寂しいらしく…
父に畏怖を抱く息子くんです。かわいい。
そして、あいかわらず、エドガー独占欲強ッ!

谷瑞恵 読了一覧
異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女  谷 瑞恵
2014年05月08日 (木) 13:10 | 編集
異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女  (コバルト文庫)
(2014/02/25)
谷 瑞恵

異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女  (コバルト文庫)

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異人館画廊
盗まれた絵と謎を読む少女  

谷 瑞恵

独自の意味を背景や小物として絵画に書き込む手法、図像。英国で図像学を学んだ千景は、祖父の死を機に日本に戻ってきた。祖母が経営する画廊には一風変わった仲間たちが集っており人付き合いの苦手な千景は戸惑うばかり。そこで千景はある盗難絵画の鑑定を依頼されるが、仲介者が昔から気の合わない幼馴染みの透磨だと知って…!?呪いの絵画をめぐる美術ミステリ!!文庫書き下ろし。
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独自の意味を図像として書き込み、人の精神に影響を与える手法。見ると不幸になると言われるいわくつきの危険な絵画。その図像を学問として学んだ千景に、ある鑑定が舞い込む。
ゴヤの新作と対になる無名の絵画…
どちらが、人を惑わせる作品なのか…?

過去に傷のある人と付き合うことの上手くできない、気位の高いお嬢様図像学者の千景と、遠巻きに嫌みを言うちょっと意地悪な執事 画商の透磨という組み合わせ。
帰国子女のお嬢様然としたヒロインの態度を、どこかの執事とお嬢様的な要素ととらえると、萌え。ヒロインに共感するロマンスものではない。
飛び級で18歳という設定は必要だったのか?
警察官の京一のキャラの方向性はこれでいいのか?など、多少つっこみどころはありでだが、呪いの絵画をめぐる美術ミステリとしては、とても面白いお話だったので、今後にかなり期待。

あらすじ
”いざとなったらおまえをもらってくれるように頼んでおくことにする。好きなだけ図像の研究に打ち込むといい。-略-彼にしておけば間違いはないぞ。”
祖父が孫娘に遺していった手紙には、それだけしか書かれていなかった。

「で、彼って誰なのよ、おじいさん……」

8歳でイギリスに渡り、かれこれ十年。祖父が亡くなり、祖母と暮らすために帰国した瑠衣は、祖父の言う彼が誰なのか考える。よく顔をあわせていた、またいとこの京兄さん?京一を思い出すと同時に、正反対の無愛想な少年を思い出す。彼が千景の描いた絵を冷たい目で一瞥して言った『ひどい馬だ』と言ったこと。
画家の孫で図像を研究しているとはいえ、ひどかったのは確かだ。二度と絵を書くまいと思い、今も実行している。
祖母の画廊で手伝いをしている瑠衣を紹介され、人付き合いの苦手さを露呈させていると、くすくす笑う声がテラスのほうから聞こえてきた。

「相変わらず、空気が読めませんね」

この苛立つ物言いに、ふと昔の記憶がよみがえった。
透磨……?西宮画廊の!
そんな千景の所に、絵画の鑑定依頼が舞い込んだ。盗難された二枚の絵画を取引したいという情報提供に、保険会社は確認できる人物を探しているという。一枚は美術館が取り戻したいゴヤの作品。
二枚の絵画を同時に見れば害はないが、一枚だけを見ると、それに描かれた図像から精神に異常をきたす恐れがある。
どちらがゴヤの作品なのか…

翌日、西宮透磨は祖母の画廊でくつろぎながら、キューブのメンバーの紹介をはじめた。
「ねえ、キューブって何?」


冒頭の経緯。両親から邪見にされ孤独な少女時代を過ごした千景。誘拐された過去の一時的な記憶を無くしている。物語は、彼女の過去と絵の力の今後を匂わせつつ、二枚の絵画を手に入れるために奔走する展開。
取引をしようとしている孤独な男、その絵を狙うタキミ商事会長の娘婿、笠井晋平。絵の奪還計画のゆくえは…。

手に汗のサスペンス要素ありのお話だが、思った以上に面白かった。
でも、コバルトからの読者を対象としているとはいえ、ヒロインが18歳なのはちょっと残念。せっかく少女小説とは違うのだから、年齢は高い方が良かった…。
そして、彼の過去の罪悪感をさらっと説明されてしまったのは残念。それだと、彼女を頑に感じてしまう。とはいえ、彼の遠巻きなアピールが、彼女に通じるのを楽しみにしております。
警察官の京一…こいつなんなんだヨ…位置的に、ただの当て馬のボケた味方なのか、今後の敵なのか判断しにくい。この人も、続刊でどう変化するのか。
そんなキャラ関係にワクワクしながらも、図像の奥深さをどんどん追求してマニアックなミステリーになって欲しい。
楽しみにしております。

余談だが、ロバート・ラングドン博士象徴と、千景の図像は似ているけれどちょっと違う。
参考→http://ja.wikipedia.org/wiki/イコノロジー

----備忘録----
此花鈴子  祖母 異人館画廊経営キューブメンバー
此花統治郎 祖父 画家
阿刀京一 警察官 またいとこ

西宮透磨 西宮画廊経営 キューブメンバー
江東瑠衣 祖母の画廊の手伝い。コフプレ キューブメンバー
章 派手な占い師 キューブメンバー
カゲロウ キューブメンバー

谷瑞恵 読了一覧
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