本読み隊
本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
蝶よ毒よ 邪悪な獣の正しい飼い方 山本瑤
2015年09月05日 (土) 22:11 | 編集

蝶よ毒よ 邪悪な獣の正しい飼い方 (コバルト文庫)
2015/6/2
山本 瑤 (著)

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蝶よ毒よ 

山本瑤

絶対、貴方に求婚させてみせる!!悪戯好きで魔女と忌み嫌われ、ルブラン王国を追放された王女・エミリエンヌは残忍な氷狼公と悪名高い辺境伯ラファエルに花嫁として召し出されるがすげなく拒絶される。ラファエルを屈服させるため、エミリエンヌは意地でも彼に求婚させると決心し…!?タイムリミットは一ヵ月。求婚したら負け!極悪公爵VS性悪王女、激辛×激甘ラブバトルのはじまり
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逃げ出しても、自分は王女であることは変わらなかったことを、身を持って知っているエミリエンヌ。
追放されたエミリエンヌは、唯一魔性に理解のある国の魔女の王女と逢うため、自分の居場所を賭けて、悪名高い辺境伯ラファエルを屈服させると宣言したけれど…

魔女として幽閉されて育ったひねくれ者のヒロインなので、その行動は無軌道で、共感はしにくい。だが、人に優しくされたことのない彼女が、城の人やヒーローとの関係に怯え苦悩しながらも心をひらいていく姿が微笑ましく、見守って応援したくなる。

あらすじ
紅い髪に緑の瞳。エミリエンヌは魔女として9歳から幽閉されて育った。姉の18歳の誕生日を盛大にぶち壊したエミリは、とうとう父王から尼僧院への追放を命じられる。
しかし、ローランド・アンサルディ公爵の仲介で、エミリはドライデン王女から招待状を受け、引き渡されることに。
大陸七王国の中で、神秘のヴェールで閉ざされている小国。その国を統べる王女は伝説の魔女れアンドーラの生まれ変わりで、在位二百年を超すと言われている。

「……エミリエンヌ。おまえは帰らなければならない。どんなに遠くに逃げようと、自分自身から逃げることはできないのだからね」

旅芸人の仲間だった老婆はそう言った。
城を抜け出し、一座と生活するのは自由で楽しかった。それでも、エミリは城に帰らなければ、と思うようになった。老婆はいつもエミリに帰るように促した。そして、古びたリュートをエミリにくれた。
今エミリは、そのリュートを手に故郷を出ようとしている。老婆は常に帰れと言ったが、もう帰れない身になってしまったのだ。
ローランドは、エミリエンヌに夫となるべき男の名前を教えた。
ラファエル・レイモンド・バルザック公爵。勇猛果敢なドライデンの将軍は、残虐に過ぎ、近年では女王の手に負えず、氷狼公と呼ばれ、領地に封じられたという。数々の花嫁候補の悲惨な末路を語り、しかし魔性の娘なら?と氷狼公ラファエルを飼い慣らす娘として、ルブランから買ったのだと…
到着するやいなや、牢に閉じ込められたエミリは早速抜け出し、迷うことなくラファエルの部屋へ辿り着くと初夜の既成事実を装った。
だが、不器量な娘を装ったエミリを”無垢な子鹿”呼ばわりしたラファエルに猛烈に腹が立った。
それでいて、この男が隠しているものを見たい。誰もしらない、この男の本質を暴きたいと思った。

「……畏れさせる」
「なに?」
「何者をも畏れない氷狼公に、あたしを畏れさせる」


冒頭の経緯。”一ヶ月以内に、求婚させる”と宣言したエミリの城での生活が始まった。エミリの選んだ部屋を、侍女のヘラは幽霊のポールがいると教えてくれたが、亡霊なんてどうでもいい。
肉。肉を食べれば元気が出て、負けるもんかって思う。
逃げずに己の血の魔女と向き合う覚悟を決めたエミリは、城に迷い込んだ雑巾犬エリザベスを救い、ラファエルには擬似新婚イチャラブ大作戦を決行すると決めたものの…
ラファエルの中には悪魔がいるようで…?

前半のエミリの方向性が意味不明で、少々理解に苦しむのだが、屈折しているくせに一本気な彼女が、戸惑いを見せる辺りから面白くなりはじめた。
作者の描く、頑張る女の子は大好き。
幽閉当時からの唯一の友達ギルや、敵か見方か不思議な人物ローランド、ラストに登場する謎の少年の言葉など、二人を取り巻く周辺事情はかなりぼかされているので、続刊があるなら読みたいと思う。
続くかしら?

山本 瑤  読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
天女は恋する、龍冠の君 山本瑤
2015年01月11日 (日) 20:33 | 編集
天女は恋する、龍冠の君 (コバルト文庫)天女は恋する、龍冠の君 (コバルト文庫)
(2014/10/31)
山本 瑤

天女は恋する、龍冠の君

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天女は恋する、龍冠の君 

山本 瑤

お茶農家の養女で健康マニアの珠華は謎めいた行き倒れ青年・紘暉を拾う。なぜか珠華を気に入り居座ってしまった彼は、艶やかな笑みの下にもうひとつの顔と、とある目的を秘めていた。珠華もまた、自身が秘めていた運命に導かれるように、絢爛たる宮廷で繰り広げられる高貴なる皇子達との恋と陰謀、そして伝説の“天女争奪戦”に巻き込まれてしまい…!?新たな王道中華ファンタジー開幕!!
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健康マニアな茶農家の娘と、行き倒れの青年(皇子)との陰謀渦巻く中華ファンタジーです。
ドロドロと暗い側面もありですが、まんまるお目々の珠華の元気な可愛らしさが爽やか。
いつもは、傲慢男子が多い作者ですが、今回は珠華に惚れ込んでいるので、ちょっと哀れを誘います。
珠華と一緒に、ほだされちゃってください。
この作品だけでも楽しかったけれど、せっかく正体が分かったことだし、続刊あるといいな。

あらすじ
出会いは、とても新鮮だった。
だから珠華にとって、彼は忘れるにはちょっと厄介な、ある意味、特別な存在になってしまったのかもしれない。
あたしを捕まえて閉じ込めようとしている。
逃げなくちゃ。全速力で。
彼が現れた時。なぜか珠華は、そう思った。

今は亡き呂桂邑は、地元の人々から呂老先生と呼ばれ銘茶の普及に尽力した人物で、留守がちだった養父よりもよほど育ての親にふさわしく、多くのことを教えてくれた。
お茶の入れかた、健康志向の薬膳。
寡黙だが、容姿がはかない少女のような風情の義兄弟の青辰は、同じ16歳。双子のように、ずっと一緒に育った。
茶屋で働き終わった帰り道、田んぼの向こうの茶畑を見に行くと、ごく狭い場所に、人が倒れている。
呂師を訪ねてまいったという妖艶な男は、養祖母・愛蘭に迎えられ、いついてしまった。
不老長寿の願いを叶える幻の茶「翠香龍神茶」を探しているというが、そんなの子供だって信じないわ。
だが、具合の悪そうな病人の彼を前に、寝物語をせがまれば話してきかせ、粥を作り、健康への助言に熱が入る。

「そなたは実に、笑顔が良い娘だ」

ふと考えこんでしまった珠華に、紘暉は花を差し出した。それは、丹精こめて育てている、菖蒲だった。
相手が喜ぶのを微塵も疑っていないその笑顔。珠華はくわっと歯を剥いた。

「花を勝手に摘むの禁止!」

元気のよい珠華を見送る紘暉に、それまで寡黙だった少年・青辰が憎しみに満ちた目で、紘暉と……それから、手折られた花を見る。

「美しい花を見れば手折らずにおれないか」
初めて少年が口を開いた。
「それが、あなたたちの性なんだね」


冒頭の経緯。紘暉が接触したことで、呂家の娘をさらおうとした何者かに、青辰がさらわれた。青辰を救うために、珠華は紘暉とともに都へ行くことに。
後半は、養父・呂桂春の使っていた茶房で働くことになった珠華だが、紘暉とは距離が開き、紘暉はそれが気に入らない。
天女を手に入れようとする華家の男(皇帝一家)の話の発端は、過去に遡る。
兄弟間での確執と天女争奪に、珠華は巻き込まれ…

前半はほのぼのしていただけに、後半は怒涛の展開だった。

安定の面白さ。
紘暉の、高い位置からのアプローチはまったく空振りに終わり、しょんぼりで可愛いかった。
勝手な意見だが、蘭児は女じゃないほうが良かったナ…、宦官にしてほしかった。
ところで、「もふもふ〜」は気に入っていたのに、続刊なし?第二章になるかと期待したのにナ

----備忘録----
青辰
養父・呂桂春 行方不明 宮廷茶官
養母・鈴香 
養祖母・愛蘭
養祖父・呂桂邑
羽月 紘暉乳兄弟 側近
蘭児 紘暉乳兄弟 女官長

暘谷 紘暉兄 第二公子
慶徳 紘暉弟 第四公子

山本 瑤  読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人 山本瑤
2014年08月07日 (木) 02:10 | 編集
恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人 (コバルト文庫)
(2014/06/03)
山本 瑤

恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人 (コバルト文庫)

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恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ
妖精国の恋人 

山本 瑤

妖精の棲むネイヴァロンでロウランド王国の王子・エリスとケンカしつつも甘い新婚生活を送るケイトリンは、妖精リャナンシーの血をひく自由すぎる女の子!エリスが愛しすぎるあまり、愛に貪欲なリャナンシーのチカラが目覚めてしまい!?二人の仲を裂こうとする厄介なお客様が現れるわ、妖精王が罠を仕掛けるわ…二人の仲は一体どうなっちゃうの!?ときめきのもふもふファンタジー!!
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第一王子アルベルトが、社交界でも人気のある令嬢と婚約したことで、エリス王子の相手が農場の娘ケイトリンということに懸念を示す女王陛下ブリギッテ。
未来の王妃に相応しい娘をめとった者を次期王太子にすると手紙で念を押し、ケイトリンが立派な婚約者であるのかどうかを、グロスター公爵ウィリアムが正体も分からない女に騙されていないか、確かめに来るということで、てんやわんや。そして彼は、またもやもふもふに…!?

両想いになったところで終わったのかと思いましたが、シリーズ化のようです。
妖精リャナンシーになってしまうことを恐れるケイトリン。彼を食べてしまわないか、甘いものを我慢し自制心を養って健気な努力をしておりますが、吉と出るか凶とでるか。
もふもふな彼もかなり成長で、良い男になってきました。彼の台詞に萌え転がってください。

あらすじ
鏡に映っているのは、もちろん自分のはず  それなのに。
薄紫のはずの自分の瞳が、なんだか普段より濃い色に、唇が異常に赤いように見える。
そんな。わたしはアシュリンと決別したはずなのに  
もう一度屈みを見た。もとの色に戻っている。いつも通りの自分……。
それから、青いとんがり帽子をかぶった小さな老人がひとり。
レブラホーンのおじいさんは、城憑き妖精だが、しばらく留守にすると言う。小さな連中が騒ぐかもしれんと老人は警告する。それは、やがて訪れる新たな嵐のはじまりだった。

「好きなものを食べて、好きなことをして、好きな話をしている君をみていると僕は安心する。僕といたいって、素直に口にできる君が好きだな」

抱きしめられているとエリスは大きい。彼はいつだって暖かい。馬と間違えた時と、変わらない暖かさと心地よさ。それなのに、胸の奥がざわめくのだ。もっと  もっと、と。
エリスを味わいつくしてしまいそうだ。

(恋人を食い尽くしてしまわぬよう、気をつけることじゃ)


冒頭の経緯。どうして、そこに歯形がつくんだァ!と、やんわりとした文章でキスシーンを表現しておきながら、いつの間にかついた歯形が意味深で気になって、気になって…と、いけない妄想をふくらませてはダメよ。
リャナンシーの血を恐れ、アシュリンや妖精王が気になるケイトリン。そんな時、エリスの婚約者を確かめに、公爵ウィリアムが訪れるとあって、掃除におおわらわ。小物達の悪戯で困り果てている城に、女王陛下に祝福をしたという妖精オーク夫人が現れ、手伝いを申し出る。
時を同じくして、もふもふになってしまった彼は、ケイトリンを恐れているのだろうか?
王妃として結婚を望まず、エリスといられることを幸せだと告げる彼女。自分のいい所を知ってもらおうとするけれど、ウィリアムは頑固で…

謎の多い妖精のオーク夫人。彼女の言葉に従うケイトリン。オーク夫人の企みや、ウィリアムの過去などを解決し、より絆が深まった二人にほっこりするお話でした。
このまま島で幸せにしていて欲しいけれど、続刊ではどうなるのか…
楽しみにしております。

山本 瑤  読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
妖精国の恋人 黒ウサギの王子様とお茶会を 山本 瑤
2014年04月24日 (木) 15:57 | 編集
妖精国の恋人 黒ウサギの王子様とお茶会を (コバルト文庫)
(2014/03/01)
山本 瑤

妖精国の恋人 黒ウサギの王子様とお茶会を (コバルト文庫)

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妖精国の恋人
黒ウサギの王子様とお茶会を 

山本 瑤

ロウランド王国の王子エリスから「契約結婚しよう」という奇妙なプロポーズを受け、妖精の棲むネイヴァロンに期間限定で嫁いだケイトリン。人々が獣の姿に変えられてしまう呪いを解くため奮闘するのだが、エリスは黒いウサギになってしまって。妖精王の怒りはどうやったら解けるの!?そして「契約」だったはずの二人の関係にもいつしか変化が!?ときめきのもふもふファンタジー第2弾!
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妖精の影響を受ける島ネイヴァロン。妖精王ディアンに祖母の代わりに求められたケイトリンだが、自分の分身アシュリンとともに決別する。しかし、エリスは黒ウサギに…
黒ウサギになってしまった王子をどうしたらもとに戻せるのか、牧場に帰るようにケイトリンを突き放そうとするエリス。彼の言葉に傷つきながらも、自分が何をするべきか、どうするべきか探る彼女の図です。

後編です。面白かった。
大人への過渡期の乙女ノベルらしいトキメキと成長の、右往左往と苦悩がぎゅっとつまった頑張る女の子のお話は、大好きだ。
最近の作者の話は、主題がはっきりしていて、分かりやすい。
一巻が、臆病な自分との対話だとしたら、今回の主題は、自分の気持ちを認め大人になること。ヒロインだけではなく、王子エリスもそれ以上に苦悩しているようで、ふでぶてしい黒ウサギが大変楽しかった。

あらすじ
今、膝の上にいる黒い垂れ耳ウサギは、本当はロウランド王国の王子であり、ケイトリンの婚約者だ(一応)。
可愛い。もふもふした耳が大きく揺れる。可愛すぎる。

「僕はこれでもロウランドの王子でこの国の主だ」

村の結婚式への招待に、領主エリンの代わりに出席したケイトリン。酔った彼女を抱く執事の姿を見て、不意に人間の姿に戻ったエリス。もしかして嫉妬?
すごく恥ずかしくて、すごく幸せだ。不思議な温かい気持ちが広がった。
しかし、夢ではアーシャが問いかける。

(ずるいのね。幸せになろうというの?私を切り捨てて、森に閉じ込めておきながら)

『もう立派なリャナンシーだねぇ…』
祖母の言葉を思い出してしまう。
リャナンシーは好きになった相手の精気を奪い尽くすまで彼を愛することをやめられない。
城で働く人達の姿はもとにもどり、彼の姿も戻った。
村の老婆ロレーヌによれば、彼がウサギになったのはケイトリンが子供のままだから…

「僕は時々、君を絞め殺したくなるよ」


前半の経緯。ただ、意地悪をしてみたくなると口ごもりながら補足したエリス。
キスを待つ彼女に告げた言葉は、牧場に帰るべきだという考え。
後半は、再び黒ウサギに戻ったエリスから距離を置くべきだと提案されうけいれたケイトリンは、エリスを領主だとお披露目するための茶会を催すことに。

フクロウ少年のクローディアスがどういった妖精なのか、明らかになりますが、この巻だけでは書き足りない印象。気がつくと大きくなっている少年が、当て馬になるまでに成長して欲しいものだと。
アシュリンと自分をはっきりと違うと自覚したケイトリンですが、妖精王ディアンの執着が終わったとは感じないラスト。
作者の頭の中には続編もあるようで、続刊プリーズ

続刊でました!
山本 瑤  読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
妖精国の恋人 黒馬の王子様と暁の娘 山本 瑤
2014年04月02日 (水) 22:32 | 編集
妖精国の恋人 黒馬の王子様と暁の娘 (妖精国の恋人シリーズ) (コバルト文庫)
(2014/01/31)
山本 瑤

妖精国の恋人 黒馬の王子様と暁の娘 (妖精国の恋人シリーズ) (コバルト文庫)


妖精国の恋人
黒馬の王子様と暁の娘 

山本 瑤

馬の気持ちが誰よりも分かる不思議な娘、ケイトリンの住むモルガンウッグの農地に、ロウランド王国の第二王子エリスが訪れ、ケイトリンに突然のプロポーズをしてくる。エリスの領地で妖精が棲むという「虹の島」ネイヴァロンに、人々が獣になってしまう「呪い」がかかっており、それを解くためには、ケイトリンのことが必要だと言うのだが…!?
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突然やってきたロウランド王国の第二王子エリスは、妖精を信じたくないけれど、ケイトリンを頼らざるおへない状況。彼に牧場を売られてしまうかもしれない。そんな不安を抱えるケイトリンも、妖精の国から帰れなくなった双子の妹への存在を気にかけています。彼の抱える問題とは…?

人の思惑やすれ違いなどを鋭く描く作家さんです。ヒーローは尊大でひねくれぎみ。ヒロインはもちろん頑張り屋さん。
一巻は出会いと探り合い、理解への展開なので、ラブ未満。
おすすめなストリーになりそうで期待しております。

あらすじ
97歳になる曾祖母は、もう十年も夢の中で暮らしている。曾祖母シアーシャの作るレースは、もう何年も編み続けているから、膝から落ちて床に広がるほど大きい。
ケイトリンはいつものように、曾祖母を抱きしめた。
シアーシャは、『もうりっぱな”リャナンシー”のようだ』とケイトリンの頭にレースをふわりとかけた。

「花婿さんがもうすぐくるからね」

■□■
ケイトリンは、曾祖母シアーシャを見送った。その悲しみが和らぐ間もなく、彼がやってきた。エリスに初めて会った時、驚きに目をみはった。
ケイトリンは馬に駆け寄り優しく首を抱き寄せ‥

「離れたまえ」

ケイトリンは長い前髪の下で、薄紫の瞳を見張った。彼はロウランド王国の第二王子エリス。どうして、馬と間違えたのだろう?ケイトリンは青年の、さらさらとした黒髪をいかにも惜しそうに見つめた。
父王の死で、多くの兄弟が各地を相続し、この地の新しい領主となったエリス。だが、末娘ケイトリンは、姉や母のようにドレスを着ることもなく、厩で馬の世話をする。
厩を訪れた王子エリスは、ケイトリンに曾祖母から手紙があったことを話すと、ケイトリンは彼を質問攻めにした。
冷たくすました背中に舌を出したいのを我慢して、ケイトリンも外に出た。
シアーシャがこっそり手紙を書いた人…彼のことが、もう少し知りたい。


冒頭の出会いと経緯。妖精を信じない。信じたくない彼の尊大な態度に、妖精を怒らせると怯えるケイトリン。案の定、森の中の妖精の世界に閉じ込められてしまった…
彼女が鏡をみないのも、ドレスを着ないのも、生き別れになった妹の存在が気になるから。
妹アシュリンとなぜ離ればなれになったのか…
後半は、婚約して彼の領地へ。
小さな島ネイヴァロン。妖精が多く、屋敷に仕えるもの達の変調から、ケイトリンは人間と妖精界の境目が曖昧なことに気がつく。でも、何をすればいいのか‥
妖精の存在を否定してきたエリンだが、領民の期待は奥方の存在に寄せられる。
そして、ケイトリンは、妖精レプラホーンから城の地下をさがそうと考えるが、鍵はエリスが持っており…

タレ耳うさぎ。俺様的に許せない状況とはいえ、事態は逼迫し、彼も怒っていられない状況に…読者的にもドキドキしつつ、でもくすっと笑う。

ラストは、なんてこった…、続刊では、ふてくされそうだナ。ケイトリン頑張れ

---備忘録----
シアーシャ 曾祖母 亡
アシュリン 妖精界に置いてきてしまったケイトリンの妹
ジャック・デシー 父
ソーニャ・デシー 母
エミリ・長女 セドリック・長兄 オノーラ姉

ハワード 執事
メリッサ&ルシンダ メイド
リネット エリスの亡妹
クローディアス フクロウの少年妖精

マーブ モルガンウィッグの妖精 ”虹の木”を欲しがる
ディアン・トゥアーハ 妖精王オベロンに連なる者
プリンセス・レッスンはルビーのお城で 山本 瑤
2013年07月26日 (金) 17:22 | 編集
プリンセス・レッスンはルビーのお城で (プリンセス・レッスンシリーズ) (コバルト文庫)
(2013/05/01)
山本 瑤

プリンセス・レッスンはルビーのお城で (プリンセス・レッスンシリーズ) (コバルト文庫)

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プリンセス・レッスンはルビーのお城で

山本 瑤

王侯貴族や資産家の令嬢のみが通う全寮制学校「エコール・ドゥ・ブランシュ」。その華やかなパーティの最中に突如、婚約者と名のるアランブール王国の皇太子がソランジュを迎えに来た!しかも皇太子は、かつてルームメイトだった女装男子…ソランジュが密かに想いを寄せていたアレクシスだった!ソランジュは王女として王国に向かうことになるのだが…嘘と秘密のラブロマンス、第2弾。
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薔薇色プリンセス・レッスン』に続く下巻です。
祖国で彼女を待つ運命。彼女が選ぶ夫が国王になる?
内乱で荒れる国内と、それぞれが背負うもの。
再会を喜びたいソランジュに対して、冷淡な態度のアレクシス。ちょっと冷淡な彼の態度に、うぶでフワフワ好きなコバルト乙女は凹んでしまうかもしれない。
前半のアレクは、ばかん。後半は、ヤキモキする彼が楽しい。
間違えてはいけないのは、この話は乙女が恋にトキメキ悩む話をメインにしてはいないこと。アレクへの想いはもちろんあるが、それをさておき、祖国の王を決める運命を背負う『薔薇』としての役目や、精神的に依存しているラウールからどうやって自立するかという点にポイントが当てられていること。
少女から、女性への変化の大切なこの時期、様々な困難や葛藤を乗り越える強さを持って欲しいという、9歳の娘を持つ作者らしいコバルト乙女へのメッセージが込められていることを作品から読み取って理解してほしい。
そうは言っても、肩肘張らないコバルトらしい楽しい話なので、おすすめです。

あらすじ
アレクシスは変わってしまった。
何度見ても信じられない。アレクシスは二年前まで美少女だった。それがどうだろう、今、ダークグレーのスーツに身を包み長い脚を組んで座る彼は、どこから見ても青年にしか見えない。
国で不足の事態が起き、バラチエ公爵(ラウール)は銃弾に倒れ、祖父であるクリステル公爵も危篤だと聞かされた。
初対面のフリをして馬鹿丁寧な態度を取ったり…挙げ句の果てに婚約ですって?馬鹿みたい。

「ぼくもどうかと思うよ。他の男に心を寄せている、公爵令嬢とは名ばかりの、育ちの悪い田舎娘と婚約とは」

とんだ誤解をしている。初恋を教えたのはアレクシスではないか。でも、ソランジュが気持ちを伝える前に、去ってしまったから…
内乱で、荒れる国内を淡々と説明しはじめた顧問官ニコーロ。行方不明だったアランブールの赤い薔薇姫。クリステル公爵家に産まれた娘が結婚相手に選んだ男子が、次期王となるという。その薔薇姫がソランジュだと言う。
クリステル公爵領にあるヨーロッパ唯一のルビー鉱山。
”竜の心臓”と呼ばれるルビーと、双頭の竜に食われる彼女の悪夢…
国民は彼女を期待に満ちた目で歓迎し、アレクの国王一家も息子アレクの非礼を詫びながら温かく彼女を迎える。
幸いラウールの命に別状はないらしいが、会わせてもらえない。そして唯一血のつながる祖父はソランジュを迎えるつもりはないらしい。

「期限を設け、ソランジュ本人に結婚相手を選択してもらってはどうでしょう。四公爵家のすべての独身男性を、選択の対象に加えるのです」

「彼女は僕を選びます。きっとね」


というわけで、後半は、お見合いと、王位を狙うものに命を狙われる緊迫の展開。
3巻まであったら、もっと楽しいお見合いにウハウハだったろうに、2巻までなので、肝心のプリンセスレッスンも少々忙しい。いや、一番忙しいのは、アレクだナ。
牽制ご苦労様。
すれ違ったままの、ほろ苦さがとても良い。だが、ほろ苦さを喜ぶのは、対象年齢が上なのだという罠。
やっぱ、牛かヨ。牛だ。ウシ。笑
でも、学校に連れてくるなんて、冷静に考えてヘンだという突っ込みはアリだと思う。

山本 瑤  読了一覧

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