本読み隊
本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
君が香り、君が聴こえる 小田菜摘
2016年07月17日 (日) 15:38 | 編集

君が香り、君が聴こえる (集英社オレンジ文庫)
2016/5/20
小田 菜摘 (著)

---楽天----




君が香り、君が聴こえる

小田 菜摘

事故で両目の視力を失った蒼。角膜移植さえすれば、見えるようになる―そう思うと、むしろ何事もやる気になれない。二年が経ち、高校もやめ、漠然とした不安のなかにいる蒼に声をかけてきたのは、友希という女子大生だった。ふたりは惹かれあい、恋人になる。直後、蒼は移植手術を受けることに。だがそれは友希との別れを意味していた…。せつなく香る、恋の物語。
-----------------------

視力を失ったことで高校を中退した蒼は、角膜移植さえすれば見えるようになるとはいえ、何もできない自分への苛立ちを抱えている。
ある日、指導員にしては不躾な態度の女性に声をかけられ…

ヒロイン視点なし。視力を失った蒼の視点で物語は描かれる。なぜ、ヒロインは彼に声をかけたのか…。
視力を失った恋人たちはテーマとしては王道だけど、作者らしい細部へのこだわりに、心の動きも加わって、とてもよかった。
1話読み切り。さくっと楽しめる甘く切ない恋愛ロマンスをお求めの方にオススメ。

小田菜摘様の作品といえば、ガチガチの政治ものノベルというイメージがコバルトでは定着しているが、こんな甘い雰囲気の話が書けるのかと、かなり驚いた。とても驚いた!

あらすじ
視覚障害者支援施設でパソコンの訓練をしていた蒼は、不意に右手首をつかまれてぎくりとする。視覚のない状態では、無言で接触されることは本当に驚かされるのだ。なにしろ暗がりの中、とつぜん腕をつかまれるようなものなのだから。

「これでしょ?」

ところが、恐縮するどころか、得意げにさえ聞こえる声に、蒼は返事もできずにあ然としてしまう。
声の主は”通りすがりの研修生”東堂友希という女子大生だった。
点訳の作業をこなしたと得意げに話していたが、蒼が部屋の名札の点字に気づかず、点字が読めないと言ったことで、黙りこんだ友希から失望をひしひしと感じていた。
おおかたボランティア精神と現実のギャップに、消沈しているのだろう。

「ありがとう、ちょっと立ち直った」

ようやく聞けた友希の声に、蒼は見えない目をかすかに見開いた。彼女の声音は明るかったが、言い回しはやけにぎこちなかった。感情の高ぶりを表現するのに起きな声を出すことしかできない、下手くそな女優のようだった。


冒頭の経緯。蒼は高校2年の時に、地震で飛び散ったガラスの破片で失明した。オルガン奏者である母のようにオルガンを得意とした蒼だが、その時から弾いていない。当時一緒にいたのは、当時付き合っていた晴香だが、今も唯一付き合いのある友人・貴志を通じて、責任を感じていると伝えられた。怒りより呆れるが、そのことで、昼間気まずさをまったく恐れず黙って逃げ出さない友希が気になり…。

前半は、友希との出会いで、停滞していた時間が動き出す彼の喜び。後半は、視力を回復したことで、彼女がなぜ研修生だと言ったのかの謎が明かされ、立場が逆転する。
見ることのなかった彼女を再び見つけることはできるのか?

少女ノベル寄りの甘さがあるが、大人になる過程を感じさせる、良いロマだった。
小田 菜摘で初めて見たのだが、ホットなシーンも頑張ってた
(注:お嬢様比)

小田 菜摘 読了一覧

コバルト文庫 読了一覧



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 ★参考になったらぽちっと★
小田 菜摘 読了一覧
2015年01月01日 (木) 12:50 | 編集
小田 菜摘 読了一覧

小田菜摘HP→http://natsumi903.blog.fc2.com/


-------ビーズログ文庫-------

なりゆき斎王の入内 ~この婚姻、陰謀なりけり~ (ビーズログ文庫)
(2014/04/14)
小田菜摘

なりゆき斎王の入内 ~この婚姻、陰謀なりけり~ (ビーズログ文庫)


なりゆき斎王の入内 この婚姻、陰謀なりけり 2014/04
なりゆき斎王の入内 その正体、さらにも言わず 2014/08
なりゆき斎王の入内 この恋路、乱れがはしき2014/12
なりゆき斎王の入内 その想い、ひとかたならず2015/4
なりゆき斎王の入内 心惑ひははかりなし2015/8
なりゆき斎王の入内 まばゆき胡蝶はまどはしたり2016/04

革命は恋のはじまり ~え? 後宮解散ですか!?~ (ビーズログ文庫)
(2012/07/14)
小田菜摘

革命は恋のはじまり ~え? 後宮解散ですか!?~ (ビーズログ文庫)


気に入ったシリーズです
革命は恋のはじまり え? 後宮解散ですか!?
革命は恋のはじまり 2つの求婚と目覚める想い
革命は恋のはじまり 告げる想いと自立する願い
革命は恋のはじまり 絡まる希望と途切れぬ想い
革命は恋のはじまり つながる想いと開ける未来 完



-------オレンジ文庫-------

君が香り、君が聴こえる (集英社オレンジ文庫)
2016/5/20
小田 菜摘 (著)

君が香り、君が聴こえる 小田菜摘

-------コバルト文庫-------
薔薇は花降る都で咲き初める (コバルト文庫)
(2013/11/01)
小田 菜摘

薔薇は花降る都で咲き初める (コバルト文庫)

薔薇は花降る都で咲き初める
薔薇は聖なる都で咲き誇る2014/04

--------------
霧の都の恋人たち 〜貴婦人の恋は珈琲の香り〜 (コバルト文庫)
(2013/02/01)
小田 菜摘

霧の都の恋人たち 〜貴婦人の恋は珈琲の香り〜 (コバルト文庫)

霧の都の恋人たち 貴婦人の恋は珈琲の香り

--------------
そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫)
(2008/06/03)
小田 菜摘

そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫)


そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫
そして花嫁は恋を知る 白銀の都へ旅立つ姫    ♡オススメ
そして花嫁は恋を知る 紅の沙漠をわたる姫
そして花嫁は恋を知る 緑の森を拓く姫
そして花嫁は恋を知る 緑の森を統べる姫
そして花嫁は恋を知る 黄土の大地を潤す姫
そして花嫁は恋を知る  大河は愛をつなぐ
そして花嫁は恋を知る  青の大河をのぼる姫
そして花嫁は恋を知る 黄金の都を興す姫
そして花嫁は恋を知る 黄金の都を受け継ぐ姫
そして花嫁は恋を知る 月の女神は黎明を導く
そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を越える

-----------
花嫁の選択 銀の森の姫は風の大地に向かう (花嫁の選択シリーズ) (コバルト文庫)
(2011/04/28)
小田 菜摘

花嫁の選択 銀の森の姫は風の大地に向かう (花嫁の選択シリーズ) (コバルト文庫)


花嫁の選択 銀の森の姫は風の大地に向かう
花嫁の選択 風の国の妃は春を忍ぶ
花嫁の選択 東で石は宝珠に輝く
花嫁の選択 悠久の大河は紅涙を呑む 完

薔薇は聖なる都で咲き誇る 小田菜摘
2014年09月29日 (月) 23:56 | 編集
薔薇は聖なる都で咲き誇る (コバルト文庫)
(2014/04/01)
小田 菜摘

薔薇は聖なる都で咲き誇る (コバルト文庫)イラスト/まち

----楽天----

----------

薔薇は聖なる都で咲き誇る 

小田 菜摘

複雑な出生や過去の事件に傷つき、心を凍らせていたマリアンジェラは、異父兄・アルフォンソにより名目上の結婚をくり返させられていた。だが、四人目の夫・レオナルドとの出会いにより、様々な感情や表情を取り戻す。しかし、実父であり、マリアンジェラを溺愛する聖王・クレメンスが、彼女を自分の手元に置こうと画策し始めて…?
------------------

妹を手放すまいとしていた兄の暗い過去を知ったマリアンジェラ。そして兄への不信を拭えぬまま、実の父でもある聖王・クレメンスもまたマリアンジェラを手放すまいと固執する。
結婚の継続を願った二人は幸せな未来のために説得を試みるものの、事態は悪化の一途をたどり、ラテラノの危機へと発展する…

続刊でました。上下巻ものと考えて、一気に読むことをおすすめ。
”花恋”からの菜摘お嬢様ファンも大満足の政治的なパワーバランスと駆け引きの展開が待っております。
ブラーナ無血開城の後の時代だと話しをつなげてくれました。
前の巻で、彼女の出生や、彼とのなれそめで引き込まれたので、前半の複雑な国や宗教上の対立の構図なども苦労なく読めます。
ルネサンス史や十字軍の時代、キリスト教からの破門の屈辱などのリアル史を念頭に読みながらニッチな楽しさを味わいつつ、父と兄の因縁と妄執、レオナルドと引き離されようとするマリアンジェラ、二人の苦悩にキュン転がってください。
ドラマチ〜〜〜ック!

あらすじ
ラテラノ共和国の政庁舎は、公共の広場の一角にまるで街の象徴のように建っていた。背の高い鐘楼を備えた砂岩作りの三階建ての建物は『花振る都』と呼ばれるこの街の職人達の腕の確実さを証明する見事な出来栄えだ。
総領夫人になって二ヶ月。マリアンジェラはヴィスコッティ家当主の夫レオナルドとともに晩餐会に出席する。
政敵タラントは、反ヴィスコッティの先鋒者だ。
マリアンジェラの兄がシーナ・ファスティマとの戦いでキクルス島に出兵すると伝えられた。
答えに迷うと、聖王の実の娘であり、兄との血縁の薄さをあてこすられる。
ありがとう、生きていてくれて  そうレオナルドが言ってくれたのだから、マリアンジェラは自分の人生を決して諦めないと誓ったのだ。
しかし、決意とは裏腹に、思うように表情が作り出せない。
その帰り、憂い顔のマリアンジェラの額を、とつぜんレオナルドが指を伸ばして軽くはじいた。

「さっきの顔はあまり好きじゃない。その顔のほうが絶対にいいぞ」


冒頭の経緯。母はなぜ父を裏切ったのか?そんな疑問の中、兄の凱旋報告と祝勝会で聖王でもある実父クレメンスと対面する。結婚を継続したいと意思を露にする二人に対し、クレメンソも「自分のために引き取りたかった」と執着を露にする…
過去に何があったのか…?クレメンスと母父との関係に始まった醜悪な連鎖に苦しむ二人に、教皇はレオナルドらに濡れぎぬを着せ破門を言い渡す。ラテラノ共和国を揺るがす中、マリアンジェラと共にあるためにレオナルドのとった行動とは…

どうするのかは、読んでのお楽しみで。まちさんの絵とのコラボも良かった。マリアンジェラが可愛くて萌えなのだが、兄のアルフォンソがね…ハチュウ類のようなと表現するに相応しい絵なのだよ。いい男なのに、腹黒くて良いのだよ。
面白かった!!

でももっと落ち着いて、キャラを育てながら、長期的な計画でヒストリカルを描いて欲しいな
5巻以上の完結で愛憎入り交じった政治ものが欲しいなぁ。お願いコバルト編集様★!

-----その他-----
西に大国ナヴァール→想いは砂色の聖地に集う
ヴァルス帝国→緑の森を拓く姫
(過去の自分の感想見たらort 何の役にもたたない…涙)

小田 菜摘 読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
薔薇は花降る都で咲き初める 小田 菜摘
2014年03月12日 (水) 11:20 | 編集
薔薇は花降る都で咲き初める (コバルト文庫)
(2013/11/01)
小田 菜摘

薔薇は花降る都で咲き初める (コバルト文庫)

---楽天---

------

薔薇は花降る都で咲き初める 

小田 菜摘

十年前の大火で両親を亡くしたアルベルティ家の令嬢・マリアンジェラ。実は母と聖王の不義により生まれた存在で、父から疎まれていたことが心の傷となり、異父兄・アルフォンソに命じられるまま、名目上の結婚をくり返している。だが、四人目の夫・レオナルドは今までの相手とまったく違っていた。人形のような自分から表情を引き出そうとする彼に心を開いていくマリアンジェラは…?
---------------

わたくし、菜摘お嬢様の作品をデビューから見守り続けております”菜摘お嬢様見守り隊”(架空)の一人でございます。
ビーズログ文庫『革命は恋のはじまり』で、これまでカチカチだった菜摘お嬢様の作品が、だいぶ砕けてきて、はたしてこのままビーズログ文庫の鷹揚さに流されはしないかと、若干心配しておいりましたが、そのような心配は無用だったようでございます。
このたびは、ルネサンス時代を舞台にしての政略結婚もの。相変わらずのラブは薄口ですが(続刊に期待)、キャラに深みも加わって、私、気に入っております。後書きでは、ヒストリアンなお嬢様のマニアックさは健在ですが聖セバスティアヌス像がエロいとか…カッチーニと平重盛コラボとか…常人とズレて、キャラにかなり気を使ったことを忍ばせる登場人物についても書かれ、後書き5ページとわたくし的には大変嬉しいことでございます。(…普通の読者にはどうでもいいことだろゥ)
お嬢様はブログを始められ、イタリアを旅されたようで、皆様参考までにどうぞ。

小田菜摘HP→http://natsumi903.blog.fc2.com/

前置きが長くなった。
責任感溢れる能天気野郎前向きな夫・レオナルドと、不義の子だと常に自分の存在に罪悪感を感じ続ける令嬢・マリアンジェラと、妹に対して保護欲全開ながらも含みのある黒い兄・アルフォンソ、そして実の父でありながら神に仕える聖王クレメンスとの構図。4度目の結婚をするマリアンジェラは、すぐに兄のもとに帰ることになるのだと理解しながらも、不躾でいいたいことを素直になんでも口にする 夫・レオナルドに対して、今までの彼女とは違った反応を見せ始めるというお話。過去と向き合い、気持ちに変化をみせていく乙女心がとても良かった。
兄の雰囲気から、やっぱり『チェザーレ』を思い出してしまうが、頑張って横に置いて。
両人とも自分の恋に気がつく前まででお話は終わるので、続刊に期待。

あらすじ
「こんなところで死んじゃだめだ、生きろっ!」

悠久の聖都と呼ばれる街、阿鼻叫喚の地獄と化し逃げ惑う人々のなか、涙も出ないくらい疲れ果てたマリアンジェラを怒鳴りつけ、手を引いてくれた見知らぬ男子。
少年の頬には、とめどない涙が流れ続けていた。

ルシアン教の総本山・聖王庁がおかれた聖地オステリア。その都のトリニータ侯爵アルベルティ家の美しい兄妹は、十年前に大火で両親を亡くしている。兄であり25歳のアルフォンソは、聖王庁との強力な縁故があった。オステリアの薔薇と呼ばれる妹マリアンジェラは、母と聖王クレメンスとの不倫によってできた娘。
5歳の時、十年前の大火の夜   
父に殺されかけたのだ。
殺したいと思うほど憎まていたのだという事実。
兄アルフォンソは、聖王の実父が厚情をかけてくれることのおかげだと言うが、妹を励ますつもりで論点をずらしたのだろう。心に苦いものを感じつつも少しは救われた気持ちになる。そして、16歳を前にしての4度目の結婚。自分の現状を作った張本人であることは承知しているが、無尽蔵の愛情を授けてくれるこの世で唯一の人を嫌うことはなかなか難しい。

新らしい相手は、ヴィスコンティ家当主となったレオナルド。どうせ一年もすれば別れるのだ。ルドヴィーゴを枢機卿の地位に就けるために、天下の大富豪の資金援助が必要ということなのだろう。
不義の子、淫売の娘。人の目が怖い。
しかし、聖王庁での祭壇画の公開で、ある青年が、不躾と思えるほどアンジェラを凝視していた。その青年こそ、レオナルド。彼は、十年前に母を大火で亡くしたという。

ラテラノへの輿入れ、そして婚礼。陽気に酔う彼に、料理を口の中に押し込まれ、不満から軽く頬を膨らませていると、レオナルドはなにか面白いことを見つけたかのようにニヤリと笑った。

「あなたは少し怒ったり、あわてたりしたぐらいした顔のほうが絶対におもしろいぞ」


前半のおおまかな結婚までの流れ。上の彼の言葉、”した”が一回多い気がするが、酔っぱらってるってことでスルーで。
初夜はどうなるのかは、読んでのお楽しみ。ズケズケものを言う彼に、凹みつつ、カテリーナは愛人なのかと、モンモン。
後半は、彼の反対勢力タラントとカテリーナとの構図。リオーリア工房のパルモやジュリオを通しての美と政略のうんちく論、そして、兄との対決の展開。

兄が迎えに来るまでに、レオナルドから影響を受け、変化をしていく彼女の成長と、ほんのりとしたこそばゆい感じが楽しいお話だった。
兄の底知れない雰囲気が、絵と相俟ってゾクゾクだったワ。彼に救いがあるといいわネ。
実父である聖王についても、母との関係や娘への気持ちなど、もう少し知りたい。
責任感が人一倍強いレオナルド。今のところ、保護者的な雰囲気で、”そそられない”関係だが、今後はどう変化していくのか楽しみ。
そして、読者の人を知りたいと思う希望と、菜摘お嬢様お得意の政治力学うんちくとの折り合いは、次の巻でどう変化するのか楽しみ。

小田 菜摘 読了一覧

コバルト文庫 読了一覧

薔薇は聖なる都で咲き誇る (コバルト文庫)2014/4/1
霧の都の恋人たち 貴婦人の恋は珈琲の香り 小田 菜摘
2013年05月30日 (木) 17:55 | 編集
霧の都の恋人たち 〜貴婦人の恋は珈琲の香り〜 (コバルト文庫)
(2013/02/01)
小田 菜摘

霧の都の恋人たち 〜貴婦人の恋は珈琲の香り〜 (コバルト文庫)

---楽天---

-------

霧の都の恋人たち 
貴婦人の恋は珈琲の香り 

小田 菜摘

裕福な地主の娘でありながら職業婦人に憧れ、看護婦になったアデライド。有能だが不器用な性格で友達がいないため、イギリス滞在中のエスニア公国の公子・クリスティアンが極秘入院する特別室の担当をまかされる。安静にしていなければいけないのに、夜会へ出席したがるクリスティアンにアデライドは反発を覚える。しかし、彼が夜会にこだわる本当の理由を知り…。
--------------

世界観や物語の背景にこだわる菜摘お嬢様。今回は19世紀、ヴィクトリア朝時代のイギリス。下調べしすぎなほどの、細かなうんちくは楽しいのだが、肝心の主人公達の恋がぱっとしないという…
格差社会、身分社会であるイギリスであえて、職業夫人の看護師の道を選んだアデライド。そんな彼女が担当した偏屈な他国の公子。
義務を背負った彼の行動に感化されながら、看護師としての自分の道を踏み固めるお話。他国の公子であり、留学中の彼との恋は中途半端感があり、結末を絶対的なハッピーで迎えなければ気が済まない乙女ノベルの我がまま読者を相手には、地味な話で物足りないブーイング。
他国の公子という設定のわりには、ラストの盛り上がりに欠けている上に、二人の未来が見え来ないのは痛いナ。

あらすじ
クリミア戦争を切っ掛けに、看護婦のイメージは一新され、現代では立派な職業婦人として定着している。有料の看護学校の正看護婦と、無料の下層階級の少女を対象としたアシスタントナースの二コースがある。
裕福な地主の娘であるアデライドは、有料コースを卒業したが、そりがあわないのはむしろ自分と同じ正看護婦達だ。つい同僚のグレイスにもきつい言い方をしてしまう。
特別室の患者は、イギリス滞在中のエスニア公国の公子・クリスティアン。虫垂炎で化膿しているため、傷口を塞げず、クリスティアンの機嫌は最悪。
痛み止めの阿片を使いたくないと言う彼…

「ですが、義務と責任を果たせないことには、我慢ができません」

飛ぶ取りを落とす勢いの商家であるタイル家の夜会に出席しようとする彼が理解できないアデライド。爵位もない家の夜会になぜいきたいのかわからないと口に出す彼女に、”イングランド人だねえ”と、主治医レナルドは返す。
そんなアイルランド出身の主治医の言葉に、自分の中に漠然とある階級意識を認識した…
病院から抜け出した彼を追い、夜会で付き添うことになったアデライドと、レナルド。
しかし、彼を狙う者に発砲された…


という前半の布石。後半は、無事退院し帰国た彼は、再び留学。大英博物館で再会した彼女とデートを重ねる。
同じ病院のアシスタントナースのエディスの行動は、男性にだらしないと同僚達から批判されるが、仕事はできる。ところが、彼女は突然辞めてしまった。そんなエディスの抜けた穴。
職業に対しての真摯に向き合う姿勢とは何か考える彼女。
そんな彼女と、あまりにも身分の違うクリスティアンとの未来はあるのか‥?

私的には、地味な恋も好きなんですがネ
悪くない話だと思うし、二人の描き方や雰囲気は悪くなく丁寧なんですがネ…きちんと二人の関係がどうなるのか、スッキリしたい。
その当時の音楽家の話やら、コーヒーの話やら、看護の衛生問題やら細か過ぎる”19世紀民俗学レポート”かよと、突っ込みつつ、そんな細かなうんちくは楽しいのだが………、本音を言えば乙女の恋心以外、どうでもいいと思っている読者が大多数なのだということを、たまに菜摘お嬢様は忘れるのだと思う。
これまで書かれた後書きに”エレファントマン”の話が二度も出てくる時点で、お嬢様はかなりレアな人。
すまん、また本の感想より、菜摘お嬢様の感想になってしまった。爆
続刊ありなら納得できるのだが、どうだろう?『霧の都の恋人たち』というテーマで読み切りシリーズにするのだろうか?いっそ『霧の都』から離れて、彼の国で看護師として尽力して欲しい…
続刊あるのよネ?

小田 菜摘 読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を越える  小田 菜摘
2012年11月24日 (土) 17:40 | 編集
そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を越える (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫)
(2012/08/31)
小田 菜摘

そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を越える (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫)

---楽天---

----

そして花嫁は恋を知る
薔薇の想いは海を越える  

小田 菜摘

皇太子だった兄の戦死により、急に世継ぎの皇女となってしまったアンティクレア。外国に嫁ぐ話は消え、次の皇帝として婿をとることを考えねばならない。アンティクレアの母で現皇帝のグラケィアは、補佐官のルキウスを娘の指南役に命じた。身分もなく、実力だけでグラケィアに認められているルキウスに、アンティクレアは劣等感を抱いていた。そんな彼女に、母グラケィアが選んだ花婿とは!?
-----------------

白銀の都へ旅立つ姫』で語られたブラーナ三賢帝の最後の代 女帝アンティクレアとルキウスのお話
黄金の都の癒し姫』の次世代編だそうです
近年迷走を続けていた菜摘お嬢様、基本にもどったというところでしょうか?久しぶりのブラーナ帝国と、突然の重責に戸惑う彼女の劣等感、恋だと意識しなくても気になる彼と、婿選びの混乱の図です。
プレッシャーと亡くなった兄への思い、彼に恋心を抱く娘の存在など、相変わらずガチガチですが、素直に面白かった。
というわけで、お嬢様ネタで遊ぶこともなく、素直にあらすじ紹介いきます。

あらすじ
ブラーナ帝国第54代女帝グラケィア。偉大すぎる母との溝を感じずにはいられないのに、兄が22歳の若さで戦死し、アンティクレアは自覚もないまま、世継ぎの皇太子となってしまった。
女帝グラケィアの腹心の補佐官ルキウス。頭脳明晰な子供の彼を見いだし育て、並の貴族に負けない男に鍛えた母のルキウスに向ける信頼に満ちた表情に反発を覚えるアンティクレア。理路整然とした冷たく容赦のない彼に、兄ですら劣等感を抱いていたことを知っている。
兄の葬儀の終了とともに、貴族の息子達に囲まれた彼女をルキウスは連れ出した…
兄の学友だから悼む言葉をくれたのだと素直に解釈する彼女に、彼は鼻白む…

「彼らは未来の女帝の婿の地位を、そろって狙っていますよ」

とくに、ロマノス・タルカスの家は名門で王族にも引けをとらない。ロマノスは、兄が自ら危険に身をさらしたことを目撃したと、アンティクレアを混乱させる。
隣国ファスティマの第二王女で従姉妹関係にあるファーリンと兄は結ばれるはずだったが、兄の死でファーリンも運命の歯車が違ってしまった…
予測できない未来と、その重圧。兄が自殺だとすれば、母はどう思うのだろう…
母は、ルキウスを彼女の指南役につけた。
皇帝としての勉強も経験もない彼女の夫選びは、様々な理由から困難を極める。母は、隣国ファスティマの第四子の8歳の王子を婿にどうかと言う…
激務が重なり、ルキウスが病気になった。
彼を見た医者だと思った男の本音を引き出すために、アンティクレアは、ルキウスに対しての侮蔑をあらわにすると、医者は選民主義的思想で、道ばたで産み落とされ行き倒れた女の子供だとルキウスを蔑む。
ルキウスの置かれた状況を次第に理解し、ルキウスの見舞に行けば、彼の宮中では見せない一面に落ち着かない気持ちになる…
ルキウスに対するアンティクレアの行動に、従姉妹ファーリンの刺々しい態度も気になる…
ブラーナ海軍での軍事演習で、遊覧中アンティクレアのルキウスに対して医者に言った言葉を貴族の娘ダマラに追求され、ルキウスにも聞かれてしまった…


後半は、彼女と距離をおきはじめたルキウス。ロマノス・タルカスの家の罠と、母のファスティマへの執着と心中。ルキウスの辞職と、倒れた母。アンティクレアの取るべき道とは…
アンティクレアのプレッシャーは結構なもので、彼女を支えるべき彼も、ヘタレになってしまった辺り、オイオイ!と、突っ込みながら、ラストは強引でも、面白かったでス。

ところで、菜摘お嬢様は、世界史系レキジョだと思ってましたが、日本史も相当オタなのですネ。後書きは大河ドラマネタでした。大河「平清盛」途中までしか見ていなかった私は、”人間離れした鎮西八郎為朝”に共感できず寂しい。

小田 菜摘 読了一覧

コバルト文庫 読了一覧
Powered by . / Copyright ©本読み隊All Rights Reserved→m117117/Template by sukechan.
スポンサードリンク