本読み隊
本の感想・紹介です 。主にコバルト文庫・角川ビーインズ・ビーズログ文庫・一迅社アイリスなどの少女趣味ライトノベル、ハーレクインなどの海外ロマンスなど、3500冊。★スマホからご覧になる方は「海外ロマンス読了一覧」など一部の記事のスクロールが長くなるの場合、”PC”ボタンでPCに切り替えて見ることをオススメです★
暁の王女 名を持たぬ聖女と紫の王 白洲 梓
2017年03月12日 (日) 15:27 | 編集
暁の王女 名を持たぬ聖女と紫の王 (コバルト文庫)2016/12/1
白洲 梓 (著)


暁の王女
名を持たぬ聖女と紫の王

白洲 梓

エインズレイ王国の第二王女アイリーンが幼い頃に恋心を抱いた相手は、姉の婚約者ヴェンツェルだった。いつまでも捨てられなかった恋心は実ることもなく、ヴェンツェルは姉と結婚してしまう。初恋に破れたアイリーンは、戦場で敵味方問わず治癒活動をする「名を持たぬ聖女団」の一員として活動を始めるが、どこかの国の兵士に捕まり、傷付き臥せったひとりの青年を癒やせと言われ―!?
——————————

王女でありながら養子に出されたアイリーン。平民として生きようとしても、王女としての立場がつきまとう。そんな曖昧な立ち位置で揺れる少女の成長を描くストーリー。
前作「最後の王妃」の続編。
前作のような勢いがいまひとつ感じられなかったし、中途半場に王女様な身分は設定として悪くないのだが、もう少しテーマを絞ってもよかったのにと思わなくもない。
とはいえ、古風な少女小説っぽくて悪くないですよ。
ベタな王道ラブを求めると、かなり方向性が違うので注意。

あらすじ
「最後に持っていくものは?」
「笑顔」
にっこり笑ってみせると、ティアナも共犯者のように笑った。そして次の瞬間、娘の体をぎゅっとだきしめる。
王宮におけるアイリーンの母は、王妃ルクレツィアである。今日、こんなふうに親子として対面できるのは、これが最後のはずだった。
(母さん……)
そっと抱き返すと、いつの間にか、母は小さくなったような気がした。
「半年したら帰ってくるのよ。すぐだわ」
アイリーンがそう言うと、母は「そうね」と小さな声でこたえた。


冒頭の経緯。アイリーンは養子に出されたために、母が二人いる。王宮に行けば娘として可愛がってもらえるものの、王女ではなく、姉エマの婚約者に憧れを抱いてきた。恋心を捨て去り、平民として生きるために、アイリーンは『名を持たぬ聖女団』の一員として、戦地に赴き負傷兵の看護にあたることに。
だが、アイリーンのやり方についていけない聖女(看護師)たちは次々と脱走し…

医療を必要とする山の民に捕まり、アイリーンはある男性の看護をする羽目に。挙句、王女だとバレ、政治的に利用されることになるのだが…。
恋愛観がちっとも甘くない。恋に恋した初恋との違いを自ら学びつつ、放っておけないへたなお節介が微妙なすれ違いをうむという展開が後半にあるのだが、読者層の求めるものからするとかなり苦い。
責任うんぬんの割には、困った末にあちこちで立場を放棄する羽目になっているのも、すっきりしない。
乳母が水死体になった意味がわからなかったり、最初の姉との喧嘩からの豹変といい、憧れの王子の精神錯乱ぶりといい、エキセントリックな部分が微妙ではある。
とはいえ、一人の少女が様々な経験の末に大きく成長する物語は嫌いじゃないので、今後も期待しております。

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ボタン屋つぼみ来客簿 さまよう彼らの探しもの きりしま志帆
2016年11月21日 (月) 11:06 | 編集

ボタン屋つぼみ来客簿 -さまよう彼らの探しもの- (集英社オレンジ文庫)
2016/9/16
きりしま 志帆 (著), 深山 キリ (イラスト)

---楽天---




ボタン屋つぼみ来客簿
さまよう彼らの探しもの

きりしま 志帆

菜乃香は奇妙なボタン専門店を見つけた。接客してくれたのは、ライと名乗る長身の男性だった。服飾の勉強をしたいと思っていた菜乃香は、数々のボタンに興奮し連日店に通っていたが、ある日、亡くなったはずの友人が店を訪れた。そして菜乃香は、自分が親とケンカをした後、交通事故にあっていたことを思い出した。ボタン屋は、さまよう魂の「探しもの」を置く店で?
---------------------------

ボタンを探してあげることで、さまよう魂を救ってあげるというボタン屋さんが舞台。ヒロインは、親が反対する進路に思い悩む女子高生。
いずれも曰くつきの裏口からの来客をめぐる4章仕立て。さくっと読みやすい構成で、物語事態は重すぎず軽すぎず。
一年留年している女子高生なだけにキャピキャピした雰囲気とは違う落ち着いた物語です。
恋愛色は薄めですが、淡い関係が良いです。続刊があってもなくてもいい雰囲気の、すっきりとした読後感。
四章はSS

あらすじ
●一章 星を探して
皆月菜乃花はイライラしていた。
ムカムカして、むしゃくしゃして、虫歯がうずいているような顔で裏通りをずんずん進んでいた。
夏の盛りの太陽が、ギラギラと世界を焦がしていた。

菜乃花は裏路地でボタン専門店を見つけた。店主のライの祖父が集めていたというボタンの膨大なコレクションに圧倒され、服飾の専門学校を目指す菜乃花は興味しんしん。客が目当てのボタンを見つけて嬉しそうにした様子から、菜乃花はさらにこの店が気に入ってしまった。
だけど、菜乃花の言葉に年若い店主は驚き…

「明日から通っていいですか?」

「は  また来るの!?」


●二章 裏側の世界
●三章 ペール・ギュントになりたくない
●四章 六月七日のリューバスボタン

表からイケメン店長で繁盛するボタン屋に入り、ライと再開した菜乃花は、彼がさまよう魂にボタンを探してあげていることを知り、入り口でライを恐れておし黙る濡れた女子高生に話しかける手伝いを買って出るが…

というわけで、ボタン探しの手伝いをすることにしたものの、進路では両親の反対をうけ、留年したこともあり学校も楽しくないと悩み多きお年頃で、いろいろと凹みつつ、彼との出会いで少しづつ前に進む勇気をもらうのです。
短いので単純といえば単純なストーリーだけれど、謎解きは面白かったし、ふんわりとした雰囲気が良いお話だった。
すごく感動とは言わないが、割と好きかも。

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ひきこもり魔術師と社交界の薔薇 それで口説いてないなんて! 秋杜フユ
2016年11月15日 (火) 16:44 | 編集

ひきこもり魔術師と社交界の薔薇 それで口説いてないなんて! (コバルト文庫)
2016/9/30
秋杜 フユ (著)

---楽天---




ひきこもり魔術師と社交界の薔薇
それで口説いてないなんて!

秋杜 フユ

侯爵令嬢のベアトリスは「社交界の薔薇」と呼ばれ、数々の貴族から求婚されまくっている。だが、いつも謎の『声』が求婚者の本性を教えてくれるので結婚には至らない。ある日、誘拐されかけたベアトリスは、魔術師エイブラハムに助けられる。『声』の正体が闇の精霊だと知ったベアトリスは、精霊について学ぶため、エイブラハム邸へ通うようになり…!?シリーズ史上最ジレ!純情初恋ラブコメ。
———————————

シリーズ一作目「ひきこもり姫と腹黒王子」の親世代からの新シリーズスタートです。
この巻から初読でも入り込みやすいように設定を軽く説明してくれます。キャラの恋愛事情がメインとなり、そのぶん舞台背景は以前より単純化しており独創的な部分が薄くなったのは残念かな。
(『声』のノリ&ツッコミが初読だと微妙かもしれないので、一作目だけでも読んでからこちらを読むことをオススメ)
いろいろと影のある主人公を書くのがうまい作家さんで、毎度楽しみにしています。今回も楽しめそう。

あらすじ
「あぁ、美しきベアトリス。あなたはまさに、咲き誇る美しい薔薇だ」

その愛の賛辞に対し、ベアトリスはにっこりと朝露をまとって輝く赤薔薇のごとき笑顔を浮かべて、相手の秘密を暴露する。
なぜ秘密を知っているのかと聞かれれば、ベアトリスには『声』が聞こえるからだ。
ベアトリスの生家であるファウベル侯爵家は、代々アレサンドリ神国の外交を担っている。祖父はラハナの王女と結婚しているが、ベアトリスの気性は祖母ゆずりらしい。
『声』はとてもきまぐれで、騒がしい時もあれば、滅多に聞こえない時もある。
父から秘密を暴露したことで叱責を受けたものの、父は結婚を無理強いするつもりはなく、兄セシリオともどもベアトリスは解放された。
ベアトリスは、忠義者の専属護衛フェランと妹のロサや、ベアトリスを崇拝し賛辞する近衛騎士アドフフォなどに護られて生活している。
そのため、巷で貴族の令嬢が誘拐されるという事件が起きているがベアトリスは安全だと考え、予定どおり孤児院へ向かった。
だが、何者かに襲われて、空き家に身を隠したものの、危険が迫っていると『声』がつげる。
そして『声』の導きによって、ベアトリスは自分と同じように『声』の存在が聞こえるものがいることを知り…


冒頭の経緯。ルビーニ家の魔術師・エイブラハムと知り合ったベアトリスは、兄から彼がひきこもりになった経緯を聞かされ、父からは彼の特殊な立場を説明され、容易に近くなと忠告される。
それでも『声』のことを知りたいと思うベアトリスは…

4年前の流行病に何もできなかった自分を責める若者たちなのであります。みんな良い子。でも、その中にいる悪い子は誰でしょう?
次のシリーズの主人公として残るのはどのキャラか?
読んでからのお楽しみで。
シリーズ一作目ほど、突き抜けて弾けたギャグはないが、落ち着いた雰囲気でこれはこれで好きです。
エイブラハムの天然に振り回されるトキメキ乙女の涙が、いい感じに痒くて楽しかった。

---シリーズ---
ひきこもり姫と腹黒王子 vsヒミツの巫女と目の上のたんこぶ2015/8
ひきこもり神官と潔癖メイド 王弟殿下は花嫁をお探しです2015/12
妄想王女と清廉の騎士 それはナシです、王女様2016/4
こじらせシスコンと精霊の花嫁  2016/7



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犬恋花伝 青銀の花犬は誓約を恋う 瑚池ことり
2016年11月06日 (日) 16:06 | 編集

犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う― (コバルト文庫)
2016/9/1
瑚池 ことり (著)

---楽天---




犬恋花伝 
青銀の花犬は誓約を恋う

瑚池 ことり

人と獣の姿を持つ不思議な存在、花犬。そしてその花犬を相棒に狩猟をする花操師。花操師見習いのコトナは、過去にあった花犬との辛い別れが原因で、現在の相棒セキとの関係がぎくしゃくしていた。近く行われることになっている、花操師への昇格試験の合格も危ぶまれる中、凶悪な花犬が出没し、多くの犠牲が出たという。それは、かつてのコトナの相棒である花犬ハルシを殺した相手で―!?
---------------------

久しぶりにコバルトのファンタジーらしいファンタジーを読んだなぁ〜と感じさせてくれる本です。
2014年ロマン大賞最終候補作を改稿してのデビュー作です。
ロマンであって、ロマンではありません。犬が人型になったりもしますが、花操師になりたいヒロインが、花犬と信頼関係を築くまでの物語なので、恋とはちょっと違います。でも、ワンコ萌えはできます。
犬とコトナの会話にほっこりしながらも、すれ違いが切なくてシリアス。丁寧な描写や、メリハリの効いたストーリー展開で、好感でした。
二人の成長はまだまだながら、この巻だけでスッキリとまとまっています。
あきさんの繊細なイラストが彩りを添えています。
ローティーンからでも楽しめるファンタジー。
かなり好評のようで、もしかしたらシリーズ化もありかも。

あらすじ
リンセイ族はラズ国に住む花の民だ。
族長を頂点とする彼らは、花守人と花育人からなり、狩猟と栽培を生活の中心として、友である花犬と共存している。
花犬は花を食べて生きる獣である。狼に似た美しい姿と、他の獣をしのぐ身体能力。ひときわ優れた花犬は、名花として里を守るが、彼らは花なくして生きることができない。
だから花の民は花犬のために花を育て、そして花犬は、花の民のために牙をささげる。

コトナは来月の考試で三年目だ。花操師となるための考試は三度しか受けることはできない。それなのに、相棒セキとの成果は上がらず、同じ村のシャリジに悪態をつかれてしまう。
花主・シャリジの花犬・スールはコトナになついており、二人は些細な衝突をするが、花主と花犬としての関係は悪くない。そんな彼らは、コトナにとって身近な目標でもあった。
  そうだ。目標だった。

  子供のくびわがはずれて、コトナがこうしに合格したら、耳刻をしようね。ぼくの耳に、だいすきなコトナの名前をもらうんだ。やくそくだよ?


冒頭の経緯。コトナの胸の中には赤鬼に殺された花犬ハルシの姿がよぎり、セキはそれを敏感に感じている。だが、コトナの最後のチャンスの考試には積極的に協力してくれた。セキはキサラ族からの療養目的での預かり犬だが、そのままこちらで花犬になるものと思われていた。コトナもそのつもりだった。
だが、合格したその直後、セキとの別れが…

セキが打ち明けることのできなかった秘密や、再び帰ってしまった先での辛い境遇などを知ることでの、成長するコトナの姿が良いお話だった。
花犬セキとの関係を築くお話なので、たまに人型になるという意味がいまのところ見出せないが、続刊が出たら意味も出てくるかもしれない。
期待

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鍵屋甘味処改 4 夏色子猫と和菓子乙女 梨沙
2016年10月16日 (日) 19:17 | 編集

鍵屋甘味処改 4 夏色子猫と和菓子乙女 (集英社オレンジ文庫)
2016/8/19
梨沙 (著), ねぎしきょうこ (イラスト, 翻訳)

---楽天----




鍵屋甘味処改 4 
夏色子猫と和菓子乙女

梨沙

今さら淀川と祐雨子の関係が気になってしまうこずえ。折悪しくテストの時期になり、しばらく鍵屋への出入りを禁じられてしまう。そんなある日、こずえが通う高校で鍵が絡んだ事件が起きる。淀川のおかげで事件が解決し、テストも終わり、鍵屋への出入りも解禁になった―のに、なぜか淀川がこずえに対してよそよそしい。そこへ、祐雨子を狙うストーカーが現れて…?
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淀川と祐雨子の関係が気になるって、こずえってば今さら!?と突っ込みたくなるが、それ以上に意識してしまったのは淀川さんの方で…のラスト巻のようです。
鍵にまつわるエピソードの小話3話収録。
ドタバタしたアットホームな雰囲気。巻の最初のような深刻な雰囲気を求めるとずいぶん雰囲気が変わった。


目次
●序章 彼と彼女の静かなる攻防
●第1章 夏の気配  彼女とプールの関係
  プールでのピッキング被害と、幽霊さわぎ。
●第2章 追いかける人
  祐雨子がストーカーから守って欲しいと淀川に頼みに来て…。
●第3章 過去からの贈り物
  実の両親のこと。
●終章 恋心の行方


ラストなので、詳細は割愛。

いまさら祐雨子でざわざわした気持ちになるのは微妙な気分なうえに、恋も進展しないまま終わる。
ラストの物語で、どれだけ淀川が祐雨子を気にかけているかわかりやすいエピソードがあるので、その辺りだけで満足しましょう。

……だが、勝手にラストだと思っているだけかもしれない。
次巻が出たら、記事を訂正します。

梨沙 読了一覧

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光の巫女を抱く夜 前田珠子 & 香月せりか
2016年09月11日 (日) 17:37 | 編集

光の巫女を抱く夜 (コバルト文庫)
2016/6/1
前田 珠子 (著), 香月 せりか (著)

---楽天---




光の巫女を抱く夜

前田珠子 & 香月せりか

命ある限り、互いを互いの『半身』とする神に選ばれた二人―ヒアルキトと、ハワルアト。島国トランキザムでの神事を行い、命を削るようにして、『ミユキ』が宿る晶脈石を生み出す。ところが最近、より多くの晶脈石が必要とされる事態が起こっていた。いったいなぜ!?三年前から訪れるようになった、大陸の皇子エイシャラムも交え、運命の大きな渦がヒアルキトたちを呑み込んでゆく…!
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コバルト40周年を記念して企画されたもの。前田珠子先生原案の世界観、キャラクターあらすじを、ひずき優&香月せりなが小説にするという企画の読み切り。
二作品とも同じ舞台設定ですが、ヒロインが選ぶヒーローが違っています。作品の雰囲気やストーリーでの意義などもかなり違うので、それぞれ別の作品として楽しむことができました。
”ー放つ風”のほうがヒロイン視点が多く、物語の舞台設定も説明が細かいのに対し、”ー抱く夜”のほうは、かなり舞台説明は簡略化され、ヒロインよりはヒーローのハワルアトの内面が多く描かれます。
己の使命に押しつぶされそうになりながら、彼女と結ばれないことに対するジレンマに苦しむ彼が、切なくて良かった。
そして、”ー放つ風”のような三角関係の沼を期待したのですが、ありません!!エイシャラムのお友達としての爽やかさが半端ないですっ!!
こちらも話をぎゅっと詰め込んでいるので、もう少し掘り込んで欲しいと思わなくもないが、サクッと読み切れるので気軽に手に取りやすい文字量です。
ティーンにオススメ。

あらすじ
「残念だけど、俺たちはもう、ずっとここにいるしかないんだよ」
言い諭すハワルアトも、己の運命に納得しているわけではなかった。
彼はできるなら医術を学び、街の施療院で働きたいと思っていた。だがそれを訴えたところでどうにもならないと、聡い彼は理解している。
自分が今ここにいる以上、一番なすべき役割は  
■□■
年に一度、国交大使でもある皇太子ハンシャザラムの訪問のために、ヒアルキトは着飾ることになった。
海を隔てた大陸の雄  ハンシャザラム帝国に対しての面子の問題だ。だが、いつもとは異なる自分の姿に、ヒアルキトはハワルアトに何か言って欲しかった。だが、彼の答えは過不足のない回答だ。
  清らかであれ。
  無垢であれ。
右手の君をなったときから、幾度となく刷り込まれてきた絶対の掟。
だからヒアルキトは、普通の女性としての幸せを享受することはできない。恋人を持つことも、結婚をすることも、自分が産んだ子供を抱くことも叶わない。
それでも、華やかな装いをすれば気持ちは浮きたつし、そう感じてしまう自由くらいは許されたい。
そんな思いを、誰よりも近くで育ってきたハワルアトにだけは理解してほしかった。


冒頭の経緯。ヒアルキトは、距離を置こうとするハワルアトの行動に寂しさを感じ始めるが、彼としては彼女を欲することのできない自分の立場に苦しんでいる。
島はこれまで結界で守られたきたが、大きな津波によって灯台が破壊され、その時期から帝国との交流が始まった。『ミユキ』の恩恵を受けてきた島だが、外の世界では『ミユキ』に頼らすに人間は自らの知恵で大きく変わり始めていることを、皇太子ハンシャザラムの訪問と協力で人々に知らしめることに成功したハワルアトだが…。

『ミユキ』の恩恵である石を専売する紅家の画策に巻き込まれ、罠にはまる彼を、ヒアルキトは救うことができるのか?という展開の中に、自由になりたいと望む恋人たちの切なさが織り込まれる。
”ー放つ風”では三角関係だったが、その設定は一切ない。
エイシャラムってば、爽やかすぎでしょう。人を疑ってしまう大人の私としては、他国の王子のくせに、なんなんですか?裏ないんですか?と突っ込まずにはいられない。
どっちの話が好みかと聞かれたら、こっちの話のほうが好きかな。

ココバルト文庫&オレンジ文庫 読了一覧






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