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BLANCA エディルフォーレの花嫁  スイ
2015年04月08日 (水) 14:09 | 編集
BLANCA エディルフォーレの花嫁 (一迅社文庫アイリス)
(2014/10/18)
スイ

BLANCA エディルフォーレの花嫁 (一迅社文庫アイリス)/a>

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BLANCA
エディルフォーレの花嫁  

スイ

名前すら持たない奴隷の少女は、牢獄に囚われた青年軍人と出会う。彼の手で、光のあたる優しい世界へと連れ出された少女は、名前と、言葉と、愛情を与えられて、強く美しく成長していく。しかし、彼に抱く想いを恋だと知った時、彼女には大きな選択が待ちうけていた―。せつなさと優しさあふれる、彼女と彼の8年を綴るラブファンタジー。
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小説サイト「0℃の夢」で掲載されていた作品。
奴隷の少女スイと、会話もままなない牢獄の青年軍人との出会い。そこから彼女の成長を追いかけ、恋のトキメキと切なさ、そして苦しさを味わいながら大人になるまでの成長を描く、ロマンチックな作品。
ネットからかぁ〜と、最近読む前に躊躇するようになってしまったが、予想外な掘り出し物的な気分だ。出版という契約のない自由に書かれた話だからこその構成なのだろう。
一時代前のロマンス(少女から大人への成長を一気に書き上げる手法)を感じさせる。
一人称の”わたし”から視る彼への切ない想いと観察眼にあふれた描写がとてもうまい。
淡々とした描写ながらも、彼の気持ちを汲み取る想像の余地を残した、こういう地味な作品、大好きです。
一冊読み切りで、10歳から18歳まで一気に成長しますが、掘り込みは深く満足度は高かった。
ファンタジーと紹介されていますが、設定は特異な世界観があるわけではなく、ヒストリカル的な地に足のついたお話。

あらすじ

しょうぐん。ふりょ。
物覚えの悪い小鳥のようにわたしは御主人様の言葉を繰り返す。
傷つき、痩せた背中をたとえる言葉を、御主人様は教えてくれなかったので、わたしは目の前に横たわるものをふりょ、と覚えることにした。
銅貨一枚で御主人様に買われたわたしは名無し、このとき十に届いたばかりの幼い子どもだった。

ふりょとおぼえた、黒髪の青年の言葉はわからないが、固く冷たくなった黒パンを肌であたためる。「     」と彼から発せられる5音、そして、彼から分けてもらうパンが、わたしの喜びとなった。



冒頭の経緯。冬の終わり、将軍と配下の脱走は成功し、助けられた少女は彼とともに生活を始める。
彼は「ブランカ」と彼女を名づけ、父のように兄のように、慈しむ。
中盤、学の無い彼女を、学校に行かせるがいじめに。
時は過ぎ、13歳の時期、彼の姉が王妃となる婚約発表での舞踏会で恋を自覚したものの眩しいほどのトキメキと幸せを感じながらも大人の男である彼に対しての恐れに似た戸惑いを自覚、15歳で実らぬ恋から逃げるように自らの道を歩み始める決意をするが…

軍人の彼の負傷の本当の理由は決して彼の口からは語られない。大切な友人を無くした彼は、傷ついた心を隠し、優しい嘘を彼女に伝える。
そんな彼の嘘を見抜きならも、包み込むようなお互いの関係がじんわりと温かく、涙です。

後半は、決別。従軍看護師の寄宿学校に入学するも、彼との決別と患者への感情に胸を痛め、こちこぼれ寸前になり、体調を崩す彼女。
手紙のやりとりはあるものの2年も会えず、恋を諦めなければと思えば思うほど追い詰められる彼女の気持ちが切なくてキュンです。
再会のラストまで遠い遠い、遠回りな地味ラブですが、彼のラストの告白とともに嬉しさひとしおの、とても良いロマだった。

おすすめ。

一迅社文庫アイリス 読了一覧
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