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屋根裏の男爵令嬢 カーラ ケリー
2015年09月07日 (月) 18:34 | 編集

屋根裏の男爵令嬢 (MIRA文庫)
015/4/9
カーラ ケリー (著),

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屋根裏の男爵令嬢 

カーラ ケリー

男爵令嬢のグレースは、不安に押しつぶされそうになりながら、パン屋の扉を叩いた。借金の山を残した父親が亡くなり、住み慣れた屋敷を追い出され、働かざるを得なくなったのだ。もはや結婚も望めないだろう…。下働きにも慣れ始めたある日のこと、グレースはパン屋の常連で、変わり者の老侯爵と友人になった。そして思いがけない遺産を託される。居心地のいい屋敷と十分な手当、それから戦争で捕虜にされているという侯爵の子息を―。グレースは遺言に従って子息を迎えに行った。予期せぬ運命が待ち受けているとも知らずに。(MIRA文庫 CK01-03)
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copyright 2012
Marriage of mercy

フランスとの戦争が終わり、独立したばかりのアメリカとの戦争が激しくなる中、アメリカ人捕虜収容所として使われていたダートムーア刑務所。
悲惨な歴史的事実を折込みながら、人生の苦渋の中で懸命に生きる二人を描く、ハートフルなロマンス。
最下層の生活から波乱の人生を歩んできたアメリカ人のロブと、落ちぶれた男爵令嬢のグレースの恋の主題は、知恵と処世で人々の心をとらえながらも、ひたすら辛坊し、待つこと。
なので、ドラマチックではあるけれど、夢見がちなロマンスとは遠く、悪役を倒す爽快感や夢のような結末があるわけではない。だが、だからこそリアルで心に残るロマ。
ホットでエンタメな作品を求めると、かなり方向が違うのでご注意。

私掠船とは、海賊行動を国が許可しているもの。アメリカからの許可で私掠船として数々の英国商船を襲ってきたオロンテス号の乗組員達は、1813年に捕らえられ、捕虜としてダートムーア刑務所の人道的とはいえない所で一年を過ごし、感染症や壊血病にかかり仲間は牢から運びだされ、…

あらすじ
鉄格子の隙間から冷たい風が吹きこんでくる。冬は鉄格子を覆うべきだと、どの看守も考えたことすらない。彼らに言わせれば、囚人など風から守ってやるほどの価値もないのだ。
航海長のロブ・インマンにとっては、風こそが命だった。適切な風が帆にどんな奇跡を起こすかをロブは知っていた。
ロブの望みは適切な風が吹くこと、それだけだった。
■□■
男爵令嬢のグレースは、18歳で父が亡くなると同時に屋敷を売りに出され、自活を余儀なくされた。行くあてもないグレースは、借金のあるパン屋のウィルソン夫妻に借金の返済に住み込みで働きたいと頼み込んだ。
それから2年で借金は返済したが、月日は飛ぶように流れ10年経ってしまった。
村の老人トムソン卿が、自らビスケットを買いに来るようになり、トムソン卿と仲良くなったが、老人が亡くなると、グレースに遺言が残された。
年30ポンドの受け取りに加え、卿の敷地内にあるダウアハウス(寡婦用の建物)で庶子の子息ダンカン船長なる人物のみの回りの世話をすることを頼まれた。
ダンカンは私掠船の船長で、ダートムーア刑務所に収容されており、仮釈放中はグレースの付き添いなしで出歩けば、即射殺されるという条件が付けられている。
しかし、新しいトムソン卿は狭量で、ダンカン船長を快く受け入れるつもりがないことは明らかだ。
保釈のため、弁護士のセルウェイとともに地獄のような刑務所内に案内されたグレースは、腐臭の中、弱り切ったダニエル・ダンカンを見て、こみ上げる悲しみをこらえながらその仕切に近づいた。
「もう遅すぎる」と言った船長はグレースに、「いい考えがある」とささやいた。

「わたしの代わりに、ほかの男を連れだしてくれ」

息を引き取ったダンカンは良い指揮者だったと見えて、囚人たちはみな涙を浮かべ、船長を見ていた。
トムソン卿はご子息の臨終の願いをかなえてやりたいと思うはずよ。
「でも誰にするべきなの?」
そして誰を選ぶか決めた。


冒頭の経緯。他の男たちと同様に餓死寸前で具合が悪そうな男ロブ・インマンを、なぜ選んだのか自分でもわからない。
しかしながら、ロブをダンカン船長と偽っての生活が始まった。
気を抜けば、ロブは海とアメリカを恋しがり、逃亡のチャンスを考えている。狭量な新トムソン卿に命を狙われるロブを決して一人で出歩かせるわけにはいかない…

次第に体力を回復したロブを伴い、グレースはパン屋で働きはじめ、ロブも手伝い、始めはアメリカ人として偏見の目で見られていた彼が次第に村人に受け入れられ、ゆっくりとグレースとの愛を育んでいく。
二人を手伝う、庭師エメリーを信頼し、年中ロブを見張るスマザーズを警戒。そんな中、弁護士セルウェイは行方をくらまし、誰を信用するべきか、アメリカとの戦争が終わったにも関わらず、事態は混乱をはじめる…

最下層から始まり、アメリカで自分の家を買い、妻を愛した男は、妻を亡くし、遠くイギリスの地で戦争が終わるのを待つしかない。自国の存続すら危うくなる恐怖のなか、切々と語られる彼の望郷の思いを、身を切られる思いで聞くグレースの切なさと優しさと辛坊強さが良いです。
どこまでも、いい風が吹いてくるまで待つしかない厳しい現実の中で、懸命にあがく二人が、切なくて良いロマでした。

どうでもいいけど、屋根裏感はあまりない。

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