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異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景 谷瑞恵
2015年10月06日 (火) 12:19 | 編集

異人館画廊 幻想庭園と罠のある風景 (集英社オレンジ文庫)
2015/8/20
谷 瑞恵 (著)

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異人館画廊 
幻想庭園と罠のある風景 

谷瑞恵

図像術の絵を求めて、離島に住むブリューゲルのコレクターを訪ねた千景。絵の持ち主・波田野は、邸の庭園でブリューゲルの絵を再現しようとしているらしい。庭園を完成させれば絵を見せると言われた千景は庭園の謎を追うが、透磨はそれが千景の父・伸郎の設計だと気づく。父の見えない悪意に苦しむ千景は、さらに波田野の息子が起こした事件に巻き込まれてゆき…。
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3巻は、ブリューゲルのコレクターの絵を見せてもらうという代わりに、持ち主から出された難題をクリアするまで。
親に愛されなかった子供という点に焦点をあて、千景の行方不明である父・伸郎の存在をちらつかせてのストーリーとなっております。
図像による暗示のあるなしはさておき、登場人物達の気持ちの動きにポイントを置いて楽しむということで満足。
千景の中で、透磨にどう思われるのかが、かなり重要な位置をしめるようになり、透磨の中でも彼女への保護意識から抑圧するような態度への反省と信頼への展開という大きな進歩を見せ、恋愛面的嬉しい巻となっております。

あらすじ
『ねえ透磨、キスしたことある?』
『どうしてわたしにはしないの?』
ませている、とは思わなかった。彼女の言うキスは、頬にするような親愛のキスだ。祖父母は彼女にキスをする。でも、両親はしない。だから透磨に問う。
 透磨はどちら側なのかと。
■□■
帰国し”キューブ”の仲間との関係も違和感を感じていたものの、しだいに自然なこととして受け入れているような気がする。
ときどき画廊に集まってきては、情報交換をしたり、意味のないおしゃべりをしたりすることに進んで加わっているのだから、自分でも驚きだ。
幼なじみとはいえ年上の透磨に、つい背伸びしてしまう千景だが、祖母の料理に関しては同意だ。
祖母の作った”スターゲイジーパイ”から突き出た魚の尻尾から、ふと思い出したことがあった。
「これ、イカロスの尻尾みたい」
ブリューゲルの作品の落ちたイカロスの姿が、海から足が突き出しただけの姿で描かれている。
ふたまたの尾びれが、二本の足みたいだ。そして、その絵におけるイカロスは、画面の端に小さく描かれているのみで、目立つのは手前の農夫であり、海と断崖のある入り江の奇妙な風景なのだ。
ブリューゲルの絵のコレクターとのつてをさがしている千景は、透磨を頼らないことを祖母に指摘される。
変わり者で人嫌いのコレクター・波田野は、透磨の顧客だというのだ。

「じゃ、透磨、紹介してちょうだい」

「お断りします」

千景は、大学の恩師ヘイワード教授から図像術のカタログ・レゾネ(目録)の協力を求められたことを話した。
祖母からも頼まれ、しばし考え込んだ透磨は、結局うなずいた。
千景の頼みならきけないとでも言いたげな含みだ。むかつくが、どうにか千景はだまっていた。とにかく、波田野に会うためだ。


冒頭の経緯。瀬戸内海に浮かぶ小島に住む波田野は、出会いから使用人を装い、千景を試す。しかも、コレクションを見せるには未完成の庭園を完成させることを条件に出す。ブリューゲルの絵を再現しようとする庭園の謎に挑むことになったが、透磨は設計者が、千景の父・伸郎だと気づいた。
一方、千景は波田野の息子・波田野務にフェリーで絡まれたが、宿泊先の従業員・福坂琢己と波田野の息子が女性とともに深夜に外出するところを、透磨とともに目撃する。
翌朝、海岸でその女性が死んでいるのが見つかった…

素行が悪いと評判の息子・波田野務と、いいなりになっているという福坂琢己。その恋人で、民宿の行方不明の娘、青戸初子。
祖父の絵を模倣した作品を持ち込んだ波田野務の姉…
ブリューゲルの他の作品とともに、絵によって人生が狂ってしまった人々の真相と、庭園の真実とは?

幼いころの誘拐事件で、 透磨と親しかった頃の記憶を千景は無くしているが、時折思い出せたらと、もどかしい想いをし、それを話す透磨にも複雑な想いを隠せない状態。そこに、千景の父の存在が大きくクローズアップされる。
父によって、図像を理解することで、悪意に染まると思われている千景の意地の張り方と、心配故に高圧的になってしまう透磨とのズレが、ジレジレ。
無事信頼関係を築くことができるのかが、ポイントです。
面白かった。

参照→美の巨人たち
ミステリー絵画シリーズ 伝ブリューゲル「イカロスの墜落の風景」

どうでもいいけど、イカロスの墜落を思い出すよりは、”スケキヨ様”だよな…と、突っ込んだ人は何人いて、その人は何歳なのだろうとか…

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