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楽園に落ちた天使 ローラ・リー・ガーク
2015年12月30日 (水) 23:26 | 編集
楽園に落ちた天使 (ラズベリーブックス)
2009/2/10
ローラ・リー・ガーク (著)

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楽園に落ちた天使 

ローラ・リー・ガーク

1871年、アメリカ南西部、賭けボクシングのリングに上ったコナーは、八百長試合をしなかったために大損した胴元に打ちのめされ、道に放り出されれる。瀕死のコナーを救ったのは、亡き親友の娘を育てながら農場を経営するオリヴィアだった。鉄道工事のために立ち退きの嫌がらせを受けるオリヴィアは、コナーに収穫の時期まで残ってくれと依頼する。しぶしぶと引き受けたコナーだったが……。人気作家ローラ・リー・ガークのリタ賞受賞作。
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copyright 1996
Conor's way

1997年リタ賞ベストロングヒストリカル部門を受賞した作品。
アメリカの南北戦争後のヒストリカルロマです。
ヒロインは、南部のお嬢様であったにも関わらず、家族を失い、友人の子供3人を引き取り、女手ひとつで農園を切り盛りしようと頑張る女性。しかし、鉄道工事のために立ち退きの嫌がらせを受け、どうしても男手が欲しい時に、ヒーローのコナーを拾うというお話。
だが、よくある土地の奪い合いのお話とはまったく別のもの。
ヒーローは、流れのボクサー。その正体は、貴族でも大金持ちでもなんでもなく、当時のアメリカで差別されたアイルランドからの移民。
純粋に生きるために、数多くの苦しみを息抜き、数えきれない理不尽と罪悪感を抱えたコナーの姿が見えてくるたびに、涙が出る良作です。
日本人には理解しにくいIRAなどの前身なども物語に盛り込まれ、アイルランドへの理解が深まります。
貧困や飢饉などを生き抜いた少年から青年へのリアルな描写は一読の価値あり。

あらすじ
「おれはボスであり、銀行であり、法律だ。わかったかい、ぼうや?」

コナーは掛けボクシングの八百長に乗らず、胴元に逆らったために、苦痛の中にいた。声を出さずに痛みに耐えた。悲鳴をあげたり、苦痛をあらわにすることは、負けを認める第一歩だ。
あれから四年たち、何千マイルも離れたところにいる今、悲鳴をきかせてオレンジ党(下記参照)のやつらを悦にいらせるつもりはなかった。
コナーは目を閉じ、千から逆に数を数えはじめた。大昔に覚えたやり方だ。九百九十八…
そこはルイジアナの田舎であり、荷馬車に乗っているのだが、コナーの心はマウントジョイに戻っていた。夏のそよ風の甘い香り以上に、牢獄の湿った酸っぱいにおいがきつくただよっている。八百五十二、八百五十一…
どこか遠くで、雷鳴が轟いていた。
■□■
オリヴィア・メイトランドには男手が必要だった。屋根の修理が必要なのだが、高いところが苦手だったからだ。
オリヴィアには養わなければならない三人の娘がいて、9月までに収穫しなければならない桃がある。老いた作男のネイトが亡くなってどれほどさみしいか。
寝泊まりする部屋と食事だけで、賃金はない。募集をかけてもそんな条件で働いてくれる男はいない。
だが、雨の中オリヴィアは倒れている男を見つけた。
痛みにうめく男をこうしておいていくわけにはいかない。
オリヴィアは意識不明の男を見下ろし、この男は屋根の修繕や桃の収穫のしかたを知っているだろうかと考えた。
「神様」オリヴィアは重い口調で言った。「これはすこし予想外でした」


冒頭の経緯。29歳のオリヴィアは、友人の娘三人を引き取り育てている。意識不明の男を家で世話していることを娘たちに他言しないように釘をさし、近づかないように注意する。
しかし、好奇心旺盛な娘たちは、コナーに興味深々。回復しはじめたコナーも、オリヴィアの生活状態を知り、罪悪感から手伝うようになるにつれ、娘たちとの接触も増える。
だが、コナーは落ち着く性分ではないと語り、桃の収穫までは手伝うと約束するが、オリヴィアの生活を脅かす相手が、彼を叩きのめした胴元のヴァーノンだと知り…

じゃがいもが一夜にして、泥になるべと病。病気に続く貧困で両親を失い、頼れる兄も失い、妹達を腕に抱きながら何もできなかった少年。オリヴィアが世話をする娘たちに囲まれながら、思い出すように語られる彼の過去は暗く、生々しく、壮絶。
だが、コナーの過去が重いだけに、ヒロインの窮状である立退き騒ぎの顛末は、コミカルで痛快に描かれ、喜劇的。
ちなみに、ホットなシーンはほとんどない。
だが、たった一度の一夜で、コナーは追い詰められて、トホホな状態に陥っております。なつかない野犬を隅っこに追い詰めたような状態。
彼が自分の家庭を受け入れるまで、ジタバタする様は、情けなく無様だが、ラストの彼の啖呵は爽快で、カッコ良いです。
オススメ

オレンジ党→イギリスによる北アイルランド統治を支持する北アイルランドのプロテスタント系の政党
wiki/ジャガイモ飢饉

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