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ティファニーで朝食を  トルーマン カポーティ
2016年04月21日 (木) 00:42 | 編集

ティファニーで朝食を (新潮文庫)
2008/11/27
トルーマン カポーティ (著), 村上 春樹 (翻訳)


ティファニーで朝食を (新潮文庫)
1968/7
カポーティ (著), 龍口 直太郎 (翻訳)


ティファニーで朝食を

トルーマン カポーティ

第二次大戦下のニューヨークで、居並びセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった…。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
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copyright 1956
Breakfast at Tiffany's

数々のロマンス作家に影響を及ぼした”銀幕の妖精”オードリー・ヘップバーンの代表作といえば、『ローマの休日』『ティファニーで朝食を』『マイ・フェア・レディ』。
とても有名な作品なので、説明は割愛してwikiにリンクします。
その中で、本の紹介サイトらしく、『ティファニーで朝食を』の文庫をご紹介しましょう。
映画版では全体的にコミカル。気まぐれで何かを求め続けるどこか憎めないヒロインをオードリー・ヘップバーンが可愛らしく演じており、日本人ユニヨシがさらに喜劇度を上げております。
映画と原作とでは雰囲気も迎える結末も180度違っておりますが、どちらもその時代の風刺が効いて甘く切なくて良い物語です。
ちなみに、ヒーローに関しては映画と原作ではかなり雰囲気が違っております。映画でのヒーローは、”しばらく書いてない作家で年上のスポンサー兼愛人”がおり”お互いの立場を時に引き合いに出し喧嘩”する同等な立ち位置に対し、原作では”駆け出しの作家志望で客観的な立場から純粋な気持ちでホーリーを見守る”という男の純情全開なのです。

では、映画の話は横へ。
トルーマン カポーティの物語はニューヨークでホーリー・ゴライトリーを回想するシーンから始まります。もしかしたら、戻ってきたのでは…と思い出すまいとしてきた淡い思いをバーテンダーと…。そんな切なく淡く儚く掴みどころのない彼女への想いをつづる男性視点の物語です。
郵便受けに”旅行中”と張ることが、彼女の性格であり、ある一定の年齢の過渡期であることを表現しています。物語の導入の一幕だけでも、とても隅々にまで気を使った表現が、読者を引きつけます。

ざっくりとあらすじ
娼婦のホーリーは鍵を忘れるたびにユニヨシのブザーを押していたが、激怒されてからは、それは僕の役目に。
そして、しばらくすると、僕は彼女の生活を理解するようになった。数多くの男性からの捨てられた切ない手紙、沢山の男性に囲まれ、明け方に帰り 
そんなある日、ホーリーが酔った男性から逃げだし、窓の非常階段から僕の部屋に避難してきた。
彼女を部屋にかくまったことで、ホーリーは戦争に行った弟のフレッドへの思いを語り、弟と一緒に暮らすためにお金が必要であることを語りはじめる。
そして、ホーリーと体の関係はなしの友情を築きはじめるが…


さて、どの邦訳を読むかによって海外作品の印象は大きく変化します。
こちらの作品には、「2008年 村上 春樹」「1968年 龍口 直太郎」版があります。もちろん、初読するなら村上版をオススメします。68年では使われていなかった言い回しを含め、少々わかりにくい部分があるのです。文中に注釈が入るのもちょっと読みにくいです。
村上版では、瀧口版の良さを崩さずに今の人にもわかりやすく邦訳してくれています。会話はとくに気を使っているのを感じます。
他に、瀧口版ではフレッドは弟なのに対し、村上版では兄。映画に合わせたのでしょうか?
抜粋しますので、比べてみてください。

原作
"  But that's not why I'm mad about Tiffany's. Listen. You know those days when you've got the mean red's?"
”Same as the blues?”
"No," she said Slowly. "No,the blues are because  割愛

P59 瀧口版
  あたしがティファニーに夢中になっているのは、宝石のためじゃないの。よくきいて。あんただって、あのいやな赤がはびこった頃のことを覚えてるでしょ?」
「あのブルースと同じやつだろう?」(注釈あり)
「ちがうわ」と彼女はゆっくりいった。「ブルースは  割愛

P64 村上版
  でもね、私がティファニーに夢中になるのはそのせいじゃない。ねえ、いいこと。ほら、いやったらしいアカに心が染まるときってあるじゃない」
「それはブルーになるみたいなことなのかな?」
「それとは違う」と彼女はゆっくりとした声で行った。「ブルーっていうのはね  割愛

今更ですが、宝石店ティファニーで朝食はとれません。くさくさした気持ちを変えてくれる特別な場所という彼女独自の言葉です。
彼女のお小遣い稼ぎの囚人の面会、彼女の元夫の登場、彼女はブラジル人と付き合いはじめ…、ホーリーを取り巻く日常の末、彼女は弟フレッドと暮らすために憧れ続けた地へ行ってしまい、彼の手元には彼女からの友情のプレゼントである鳥籠のみが残されるのです。
我が道を行くホーリーの感覚は簡単には共感はしにくく、だからこそ想像の余地があり、短編に込められた数倍はいろいろと妄想が膨らんでしまいます(?)。ロマンス作品の王道とはならなかったけれど、深く印象に残る作品です。
是非一読。

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